GOSICK―ゴシック
2006年11月1日 読書
ISBN:4829162295 文庫 武田 日向 富士見書房 ¥630
いくよ、GOSICKのガチ感想。ネタバレありで。
なおキャラクターの魅力がどうこうとかは客観性を欠きすぎるから止めとく。痛くもない腹を探られたくないからあらかじめ言っとくとヴィクトリカはボール。バットのヘッドさえ動く気配がありませんよ。見た目だけは大好きだけど。
ついでに「混沌の再構成」とかアレな台詞もスルー。ほら、「灰色の脳細胞が私に語りかけるのだよ、ヘイスティングス」とかと一緒だと思えば。
まずは良かったところ。
1.完結している。
2.魔法や特殊な技能に頼ってない。
最初見たときはさ、千里眼や過去を見る眼で犯罪に迫ったり、襲い掛かる犯人を魔法で倒したりするなんちゃってミステリだと思ってた。ほら、富士見だし。あと、ちゃんと書き終わってるのも偉いね、何も書いてない俺の100万倍偉い。あ、俺は書いてないから零か。零に何を掛けても零だから、俺の一兆倍偉い。あ、意味ないや。
さて。じゃあ引っかかった点をつらつらと。
1.ご都合主義過ぎ
2.アレックスって名前と性別の不自然さ
3.なんで被害者はわざわざ飛んで火に入ったのか
4.異常なまでの盛り上がらなさ
5.〜した。〜だった。〜た。
6.ネッドの様変わりに対する説明不足
7.主人公の一貫しない行動
8.ソヴュールの意義
9.その他細かい記述
1:クラスメイトから聞いた話がそのまま週末の惨劇の舞台になったり、犯人がヴィクトリカの母を見かけた様な記述があったり、まあ小説なんだからある程度は甘受するけど、階段の上り下りだけで生死を分けるような状況に置かれても息が切れないだけの体力を手に入れたってのは無いな。ちなみに大の大人に本気で殴られたり首を絞められたら、耐えようとする暇も無く昏倒する。「まあラノベだし(笑)」って言われたら何も言えませんけど。
他にも10年前に分かれた二人がたまたま同じ週に復讐を行うってのもどうなのよ。
2:アレックス・ロドリゲスって選手もいるし、ヴィクトリカ以上に男の名前だと思ってたんだが。作中で一切フォローが無いところを見るとアレックスってのは当たり前に女の名前なのだろうか。それにしてはモノローグで男っぽい描写されてるし、もしミスリードを狙ったなら種明かしをしないのはマナー違反だね。
3:一弥が乗船する前に船の名前に気付くのに。招待状の記述とか、「10年前」に居合わせた人物なら絶対に気付きそうなものだが。それでも来てしまうような仕掛けを施すべきじゃなかったのか。そもそも全員が集まれるとも限らない。週末に偉いさんの予定が空いているとも限らないし、ネッドは普通来ないだろう、ああいう誘い方では。このあたりまったくもって杜撰としか言いようが無い。
4:犯人との対決シーン、初対決はわずか7行。決戦は約3ページ。いずれも立ち回りと言うほどのことはやっていない。まあコレについてはアクションじゃなくミステリが主題だからって言えばその通りなんだけど。
ただ「死」の描写があまりにもぞんざいなのはいただけなさ過ぎる。死体に対する記述は殆ど無い。倒れた。死んでいた。ってだけ。死体を見るのは初めての筈の主人公たちがまったく取り乱さないから緊迫感が伝わってこない。
5:多分この作者の癖だと思うけど、言い切り・過去の語尾「〜た」を多用しすぎる。これはモノローグにおいて淡々と過去の出来事を伝えるのには抜群の効果を上げてるけど、それ以外の部分では使われすぎててクドいし、ライブ感が無い。
「彼は走る」だと思い浮かぶ情景は走っている彼、だけど「彼は走った」だと走り終わって、さて次はどうなるの?という間を感じないかな。作中では「〜した」の使いすぎで常に行動の結果だけが記述されている感じを受ける。読みづらい。
6:ネッド(ヒューイ)は死体を装った状態から復活すると殆ど別人になっている。おどけた印象は消え、さながら殺人機械のよう。ただこれに関する説明がまったく無い。しかも現代では死んだ振りをして「猟犬」になる必要がまったく無い。これ絶対脚本上のミスだよね。テニスボールを手に入れた描写も無い(筈だ)し、彼の周りは粗ばっかり目立つ。
7:死者に対して捨て台詞を吐く人に「不謹慎だ」と怒りを覚えるのに。手柄を掠め取っていく刑事に義憤を感じるのに。他人のヨットを勝手に持ち出して他人の(しかも死者の)招待状でパーティーに参加することには罪悪感が無いらしい。なにそれ。
8:マジ意味無いよね。フランス貴族じゃ駄目な理由でもあったんだろうか。
9:誤字が散見されるのは編集者のせいとしても、
>「モーリスだ。ソヴュール王国外務省の幹部だ」
って自己紹介はどうなの。睡眠薬入りの食事を食べて一弥が眠った後、視点が第三者のものに切り替わる時に行を空けてないのも違和感。ついでにいくら80年前でもコレだけ大きな船を用意すればそこから脚が付くと思うんだ。まあ犯人は復讐したかっただけみたいだからそこまで考えなかったのかもしれないけど。
2巻も冒頭だけ読んでみたけど、とにかく「〜た」が気になる。カタルシスが期待できる訳でも無いので俺のGOSICKはこれで終了です。
この作者の本はもう読まなくていいや。
…………………………………………
叩く気は無かったんだけど結果的に叩きが多くなったかも。ファンには本気で申し訳なく思ってる。別に叩きたくて読み始めたわけじゃないのでそこは信じてほしいけど。
いくよ、GOSICKのガチ感想。ネタバレありで。
なおキャラクターの魅力がどうこうとかは客観性を欠きすぎるから止めとく。痛くもない腹を探られたくないからあらかじめ言っとくとヴィクトリカはボール。バットのヘッドさえ動く気配がありませんよ。見た目だけは大好きだけど。
ついでに「混沌の再構成」とかアレな台詞もスルー。ほら、「灰色の脳細胞が私に語りかけるのだよ、ヘイスティングス」とかと一緒だと思えば。
まずは良かったところ。
1.完結している。
2.魔法や特殊な技能に頼ってない。
最初見たときはさ、千里眼や過去を見る眼で犯罪に迫ったり、襲い掛かる犯人を魔法で倒したりするなんちゃってミステリだと思ってた。ほら、富士見だし。あと、ちゃんと書き終わってるのも偉いね、何も書いてない俺の100万倍偉い。あ、俺は書いてないから零か。零に何を掛けても零だから、俺の一兆倍偉い。あ、意味ないや。
さて。じゃあ引っかかった点をつらつらと。
1.ご都合主義過ぎ
2.アレックスって名前と性別の不自然さ
3.なんで被害者はわざわざ飛んで火に入ったのか
4.異常なまでの盛り上がらなさ
5.〜した。〜だった。〜た。
6.ネッドの様変わりに対する説明不足
7.主人公の一貫しない行動
8.ソヴュールの意義
9.その他細かい記述
1:クラスメイトから聞いた話がそのまま週末の惨劇の舞台になったり、犯人がヴィクトリカの母を見かけた様な記述があったり、まあ小説なんだからある程度は甘受するけど、階段の上り下りだけで生死を分けるような状況に置かれても息が切れないだけの体力を手に入れたってのは無いな。ちなみに大の大人に本気で殴られたり首を絞められたら、耐えようとする暇も無く昏倒する。「まあラノベだし(笑)」って言われたら何も言えませんけど。
他にも10年前に分かれた二人がたまたま同じ週に復讐を行うってのもどうなのよ。
2:アレックス・ロドリゲスって選手もいるし、ヴィクトリカ以上に男の名前だと思ってたんだが。作中で一切フォローが無いところを見るとアレックスってのは当たり前に女の名前なのだろうか。それにしてはモノローグで男っぽい描写されてるし、もしミスリードを狙ったなら種明かしをしないのはマナー違反だね。
3:一弥が乗船する前に船の名前に気付くのに。招待状の記述とか、「10年前」に居合わせた人物なら絶対に気付きそうなものだが。それでも来てしまうような仕掛けを施すべきじゃなかったのか。そもそも全員が集まれるとも限らない。週末に偉いさんの予定が空いているとも限らないし、ネッドは普通来ないだろう、ああいう誘い方では。このあたりまったくもって杜撰としか言いようが無い。
4:犯人との対決シーン、初対決はわずか7行。決戦は約3ページ。いずれも立ち回りと言うほどのことはやっていない。まあコレについてはアクションじゃなくミステリが主題だからって言えばその通りなんだけど。
ただ「死」の描写があまりにもぞんざいなのはいただけなさ過ぎる。死体に対する記述は殆ど無い。倒れた。死んでいた。ってだけ。死体を見るのは初めての筈の主人公たちがまったく取り乱さないから緊迫感が伝わってこない。
5:多分この作者の癖だと思うけど、言い切り・過去の語尾「〜た」を多用しすぎる。これはモノローグにおいて淡々と過去の出来事を伝えるのには抜群の効果を上げてるけど、それ以外の部分では使われすぎててクドいし、ライブ感が無い。
「彼は走る」だと思い浮かぶ情景は走っている彼、だけど「彼は走った」だと走り終わって、さて次はどうなるの?という間を感じないかな。作中では「〜した」の使いすぎで常に行動の結果だけが記述されている感じを受ける。読みづらい。
6:ネッド(ヒューイ)は死体を装った状態から復活すると殆ど別人になっている。おどけた印象は消え、さながら殺人機械のよう。ただこれに関する説明がまったく無い。しかも現代では死んだ振りをして「猟犬」になる必要がまったく無い。これ絶対脚本上のミスだよね。テニスボールを手に入れた描写も無い(筈だ)し、彼の周りは粗ばっかり目立つ。
7:死者に対して捨て台詞を吐く人に「不謹慎だ」と怒りを覚えるのに。手柄を掠め取っていく刑事に義憤を感じるのに。他人のヨットを勝手に持ち出して他人の(しかも死者の)招待状でパーティーに参加することには罪悪感が無いらしい。なにそれ。
8:マジ意味無いよね。フランス貴族じゃ駄目な理由でもあったんだろうか。
9:誤字が散見されるのは編集者のせいとしても、
>「モーリスだ。ソヴュール王国外務省の幹部だ」
って自己紹介はどうなの。睡眠薬入りの食事を食べて一弥が眠った後、視点が第三者のものに切り替わる時に行を空けてないのも違和感。ついでにいくら80年前でもコレだけ大きな船を用意すればそこから脚が付くと思うんだ。まあ犯人は復讐したかっただけみたいだからそこまで考えなかったのかもしれないけど。
2巻も冒頭だけ読んでみたけど、とにかく「〜た」が気になる。カタルシスが期待できる訳でも無いので俺のGOSICKはこれで終了です。
この作者の本はもう読まなくていいや。
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叩く気は無かったんだけど結果的に叩きが多くなったかも。ファンには本気で申し訳なく思ってる。別に叩きたくて読み始めたわけじゃないのでそこは信じてほしいけど。
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