ネタバレには気を使わないから、気にする人は飛ばしていただけると助かる。
最近はトリロジ関係で飛んで来る人がチョコチョコいらっしゃるようなので。

8話ですけど、要素要素はかなり早い段階で分かったし、一読して違和感を感じてからはメモ取りながら読みなおした甲斐あってか、ミスリードっぽいものにも気づけた気がする。っても正解じゃなければただの考え過ぎになっちゃうんだけど。

ついでに言い訳しておくと、今回ははじめから「こいつが怪しい」ってのがあって、そいつが犯人であることを軸に考えていったから邪道だろうなとは思う。TRICK×LOGICって今まではワイダニットはガン無視、ハウダニットを突き詰めていくとフーダニットは問うまでもなく絞られるって構造だったから、とにかくトリックだけを考えるのが常道だったと思うんだ。だから自分のやり方は褒められたもんじゃないかもしれないし、ミステリを読むときに主人公に優しい好漢が登場した段階で「こいつが犯人じゃね?」ってカマかけて読み進めるようなもんだからどうかな、とは思う。

------------------------------------
さて、行数稼いだからもう本文に入ってもいいよね。

8話だけど、ポイントは次の点だと思う。

・西森はいつどこで殺されたのか
・西森がいつどこで殺されたにせよ、犯人はどうやって西森の部屋に入退室したのか

まあぶっちゃけるとですね。初読みで青田が怪しいと思った訳ですよ。アカシャp60で「西森修治が自室で死んでいる?どういうことなんだ!」って書いてあるのが、凄い不自然な気がして。普通、「西森修治が死んでいる?」だと思うんですよね。なんで「自室」なんて言葉が出てくるのか。そして「どういうことなんだ!」って想定外の事態に対する不満だとか、そういうことを表す気がして。

ここで「青田が西森の部屋以外で犯行を行ったが、第三者か西森自身(まだ生きてた)が部屋まで戻った」って構図を考えた。ただ8話はやたらタイムチャートを意識させられるんで、キーワードチェックしながらの2回目はメモ取りつつ読み進めてみた。特に一章と四章は複数視点で時間と一緒に行動が語られるんで整理しやすかった。ちなみにこうなる。
9:01 西森、自室から出て玄関ホールを右手に消える
9:04 西森、自室に戻る
9:05 寒川、玄関ホール右手から現れ西森の部屋へ、すぐに出てくる
9:10 正岡、玄関ホール右手から現れ西森の部屋へ、すぐに出てくる
9:20 萩本、現場着。作業開始

-----死亡推定時刻~

9:40 坂井、玄関ホール右手から現れ玄関ホールで作業を始める
9:47 熊谷、玄関ホール右手から現れ自販機へ、すぐに戻る
9:55 松永、事務所から出て西森の部屋を通過、玄関ホール右手に消える
10:00 青田、見回り開始。楽器店を調べる
10:00 西森、館山から電話を受ける
10:02 正岡、玄関ホール右手から現れ自販機へ、すぐ戻る
10:05 松永、トイレから戻る
10:10 青田、玄関ホール右手から現れる。1階を見回ってから上階へ
10:13 寒川、玄関ホール右手から現れ、西森の部屋へ、ノックせずに帰る

-----死亡推定時刻~

10:35 坂井、作業終了、玄関ホール右手に消える
    岩代、西森のいる部屋へ。死体発見
10:50 青田、西森の部屋の前にいる岩代の異常に気づく
もうね、p49の岩代のパートだけ書き方が明らかにおかしいんですよ。時間が書いてない。どう見ても叙述トリックだと思うんですよね、タイムチャート的には死体発見は青田が監視カメラから異常に気づいた時でなくてもいい。ただしそれ以外の時は岩代が西森の部屋に近づいた記述はないから、「西森のいる部屋」ってのはウェストウィングの西森の部屋ではなく、西森が居るはずの部屋(二人は待ち合わせをしていた?)なんじゃないかなと。

さて、じゃあ西森はいつ死体になったのか。犯行はいつ、どこで行われたのか。自分は青田犯人説なので、「西森の部屋に死体があって青田驚愕」の記述からして青田が犯行を行ったのは自室ではない、という仮定に則って考えてます。

タイムチャートからしても怪しいのは10:00が二つ並んでる点。青田が店舗を見回る、西森が電話を受ける。10:00といえば近くの寺が時報よろしく鐘を鳴らす筈。しかし電話の主の館山はp94で「西森の声以外には何の物音もしなかった」と答えてる。これで西森が10:00にいた場所は防音設備の整った演奏室で確定。早く電話を切りたがってたのは青田と会う予定があったからではないか。10:00過ぎに見回りで楽器店に入った青田と西森は演奏室で会う。そして隙を見て青田は西森を殺害。

ただしここで問題が。西森が部屋から出入りするところは9:04以降監視カメラに映っていない。そして9:10に正岡と自室で会ってるわけだから、これ以降に何らかの手段で演奏室に行かなければならない。
部屋のドアから移動する以外の方法だと窓から、ってのがある。9:20に萩本が作業を始めるから、やるなら9:10~9:20の間。そしてトイレの大きな窓からビル内に入り、監視カメラの死角を利用して演奏室へ……ここで問題がさらに二つ。一つは西森が両足を骨折していて車椅子移動だったこと。もう一つ、トイレは施錠されてること。

だけどこれは簡単に処理できる。西森の両足骨折は嘘だった。p50の「もし、あのことがばれたらどうなるだろう?」っていう岩代の悩みはこれにまつわるものだろう。恐らく骨折は狂言で、嘘の診断書を書かされたのではないか。保険会社から金をせしめるためか、轢きそうになった車の持ち主から保険金を巻き上げるためか。楽器店の売上が苦しかったらしいし、テナント料が入って来ないにも程がある状況だから金がらみだと思われる。なんか「俺の仕事を言ってみろ!」みたいだよね、オーフェン無謀編2巻の1話目。

トイレについては松永が施錠を確認したのは9:55にトイレに行った時だから、9:01に西森がトイレに行ったとき開錠して、9:10~9:20の移動の際にビルに入ってから施錠すればいい。これで西森は監視カメラに対しては部屋に居ると思わせながら演奏室に居ることが出来る。多分この移動は青田が西森に指示したんじゃないかな。監視カメラを見る警備員という仕事柄、西森の両足が無事であるということに気づいて、西森と交渉するために演奏室に呼び出す。ただしいかにも二人が示し合わせたようにニシモリ楽器店に入っていくのは怪しいから、時間差で待ち合わせ場所に移動することを思い立つ。

交渉がまとまらなかったから衝動的に殺しちゃったんじゃないかな。ここまでの予想は勇み足だけど。ついでにここから先はまだ確信が持ててないんだけど検証を続けてみる。

さて、演奏室で殺っちゃった青田。しかし良く考えてみると彼は心配要らない。「西森が演奏室に居るはずがない」んだから。何食わぬ顔で見回りを続行する。監視カメラもないし、あとで死体が見つかっても「自分が見回った時には何もなかった」と答えるつもりだったのかも。でも、ここでアクシデントがあった。西森は青田の呼び出しの後で岩代と相談を持つつもりだった。恐らく、10:40分頃に演奏室で。岩代はp51で西森修治のいる部屋(演奏室)の前に立ち、中に入る。死体発見。

岩代からするとこれがマジヤバイ状況なのは明らか。西森が誰かに岩代を呼び出したことを話してたら、自分が真っ先に疑われるのは間違いない。ここで考えたのは死体をどうにか移動させること。玄関ホールには誰もいない。死体をエレベータの前まで移動させ、西森修治の部屋のドアを開ける。驚いたフリをしてから室内に飛び込む……フリをして、監視カメラが外開きのドアで隠れたら死体を室内に移動させて車椅子に座らせる。
あとは警備員を呼びに行けばいいけど、今回は異変に気づいた警備員が駆けつけた。

これが事件の全容だと思うんだけど調書で迷う部分が。凶器なんだけど、演奏室のパイプ椅子で殴ったらどう考えてもバレるよなあ。これだけが分からない。

------------------------------------
書く前は自信がなくて、トンでも過ぎるかな……とか考えてたんだけど、書き始めてみると「これしかない」って思える不思議。いずれにせよ8話は結構楽しかった。

ところで後日談が読めることに今気がついたんだけど、誰得だねコレ。ついでに暴走ジュリエットも読んでみた。えーっと。
よくアニメや漫画のキャラが面白半分でビッチとか呼ばれるけどさ、つかさは凄いねコレ。全てのビッチは道を譲れ!って感じだわコレ。うん、数年前は「ツンデレのあとはビッチの時代が来る!」とか言ってたけどさ、無いわ。ないわー。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索