ブレイド最終話から。このセリフだけ妙に浮いてるというか、まさに取ってつけたような感じだったなあ。芝居がかりすぎた芝居は客を引き込むどころか醒めさせてしまうのではなかろうか。

さて、翻って00映画版ですが。自分が今回の映画に期待してたのは2点。

・投げっぱなしだった2期を経て「争いのない世界の実現」というテーマをどう着陸させるか

・ハッタリ武装とビックリ作画とヌルヌル動画

敵と味方が分かり合って手を取り合って、ってのはそれそのもので燃えるシチュエーションではないんですよ。協力して巨悪を倒す、ってのは昔からアニメ・特撮で多用された王道で、陳腐化されてもやっぱり楽しいしカタルシい。それに比べて、手を取り合うことが目的化しちゃうとこれはもう大変だ。理解し合うってのは地道な努力と主張の譲り合いと信頼の積み重ねが大事であって、「ここで死なれちゃ困るんだよ、お前を倒すのはこの俺だからな!」ではない。この辺は1回ごとの積み重ねをエピソードに盛り込みやすい連続ドラマの世界ではしょっちゅう扱われてるけど、ロボットアニメで成功した例は記憶に無い。そりゃ俺アニメ自体めったに見ないけどさあ……失敗した例なら、TVナデシコとか。

で、そろそろ00映画本編に話を移すんでネタバレもするよ。ごめんね。

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結論からいうと、期待してたポイントはやや外れでした。
外宇宙から突如飛来した金属生命体"ELS"。脳量子波を持つ人間を襲う驚異は目的も生態も不明。人型どころか有機体にも見えない、どう考えても対話の出来る相手じゃねーって存在に対して、劇中の地球連邦政府ははじめ宥和政策に傾倒する。んで、どうにも被害が大きくなってヤベエって段階で初めて対決を決断。見てて不安でしたよ。「一発だけなら誤射かもしれない」って例のアレが頭にチラチラ浮かんで。001年間+劇場版で出した結論が「はじめは握手を求めて、でも無理そうなら殴ろう」だったら救えなさすぎるから。でも、「はじめは握手を求めて、でも無理そうなら殴り倒してから握手」だったらより酷いな、SEEDっぽくて。SEED見てないから中傷だけど。

ところでダブルオーライザーとせっさんは2期ラストの段階で、意識共有空間展開能力を得てる。で、今回はそれを駆使して外宇宙からの使者とコンタクトを図るわけだけども、ファーストコンタクトは失敗。ラストバトルで対話は何とか成功するわけだけど、ELSが地球にやってきた理由に関してはギャグなのかと思うほど陳腐というか、本気でそれをオチにする気なのかと疑うレベル。というか対話成功からEDに至る5分間は尺がなかったのか理解がさっぱりできなかった。どうもimgの感想スレ見る限り俺の理解力が足りなかったみたいだけどそれでも強引にまとめすぎだろって印象は変わらない。

あ、でも絶望的な戦力差の戦いで、説得コマンド持ったキャラクターを敵ボスのところまで移動させるのが勝利条件で、そのための露払いをみんなが命懸けで頑張るってシチュエーション自体は嫌いじゃないんだ。銀英伝もそんな感じだよね、10巻は。

個人的に、「争いのない世界の実現」というテーマはやっぱ大きすぎたと思うよ。グラハムが劇中で「矛盾を孕んでるけどいいから精一杯生きようぜ」的なことを言ってたけどさ、それでいいじゃない?とも思う。ロックオンやアレルヤも「イノベイターとも分かり合えたんだからELSとも分かり合える筈」とか「明日を切り開くために戦うんだー」とか色々主張してたけど……今回の映画ね、とにかく全編に渡って説教臭い。戦闘中に喋る言葉がもうとにかく鼻について仕方ないんですよ、異様に芝居がかってるというか。

もうひとつ残念だったのは戦闘。というかこっちの方がガッカリ度は高いかも。敵が人型じゃなくてビットの大群みたいな形状だったうえに、味方側もやたらビット搭載機が多い。んで敵はスピードがとにかく速い上に実弾兵器が効かないという設定のせいかとにかく単調なんですよ戦闘が。接敵する前に超ビームでドーン。ハイスピードで敵から逃げまくってビームでズバーン。あるいは敵陣のただ中で踊るようにビームをドドド。しかも敵は量産機ばっかりでボスをやっつけた訳でもない。宇宙空間のシーンだけで構成されたグラディウスみたいなもんですよ。どこまでいってもカタルシスとは無縁。ていうかフラストレーションが溜まりまくってうっかり帰りにヨドバシでガンプラ買っちゃうとこだったよ。結局のところ人型ロボットは人型ロボットと戦わせてこそなんだろうなあ。それが剣戟でなく西部劇だったとしても、やはり人型が吹っ飛ぶ、倒れる、爆発するってのは爽快感がある。

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と不満は多かったけど、同じくらい小ネタも多かった。というか「絶対に笑ってはいけない00」のノリだった。スタッフがSEEDを嫌いであろうことや大使が大好きであろうこともよく分かった。途中がパニック映画だったり、超兵さん生身で大活躍だったり、手乗りティエリアだったり。童貞が童貞喪失だったり、テロの首魁が大出世だったり、外宇宙母艦がスメラギだったり。いきなり50年後だったり、主人公がターミネーターだったり、ヒロインレースまさかの大逆転だったり。ただでさえガンダム史上最年長ヒロインっぽかったのに、完全に揺るぎないものになっちゃったなあ姫。

一方でモノのついでみたいに散っていったキャラクターがいたのは辛い。あの二人も残念だけど映画で初登場のデカルトさんはいなくても良かったよね、新型機も全然目立たなかったしマジで何しに出て来たんだろう。

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まあ、観終わってimgでスレ追っかけてる今はそこそこ楽しい。でも出来ればもっと4機の新型ガンダムはメリハリつけて活躍させて欲しかった。どいつもこいつもビームで個別に倒すか、でかいビームでまとめて薙ぎ払うかばっかりなんだもの。特に出ずっぱりで活躍してた割にギミックを活かせなかったハルートと、ほとんど何もしてない00クアンタはなんというか、こう……。ラファエルも合体変形ソレスタルガンダムに成り損ねたしね。あれ、まともに頑張ったのサバーニャだけじゃないか?旧式のデュナメスにも出番があったし恵まれてるなあロックオン。

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