第一次中間発表1位でしたね、真姫ちゃん。

「なんか嬉しすぎて夢のなかにいるみたい♡ やっと私の魅力に時代が気がつき始めたのかな? でもこれからもっとイイトコ見せたげるから待ってろヨ♪」

↑のコメントは去年やった第4回総選挙で3位になった時のものなんだが、今の真姫ちゃんの心境やいかに。

でもね、アニメの真姫ちゃんはこんなコメント出さないと思うんですよ。アニメ化にあたって、パーソナリティは分かりやすくアピールしやすくデフォルメされてる。原案の真姫ちゃんが持ってた、自分が一番で誰にも譲らなくて自信満々なセリフも嫌味には聞こえない可愛らしさ。そういったところをスポイルして、既存のツンデレっぽさや優しくされると簡単になびく様を性格設定や行動原理に落とし込んで。

結果として、初見でも真姫ちゃんがどういう女の子なのかを大づかみに捉えやすくなった。アニメから入った人がまだ見てない人に「こんなキャラだよ」って説明できるようになった。
仏教だってなんだって、布教のためには解釈本が出るよね。原典そのままで解りづらいところを飲み込みやすく、時に拡大し時にオミットして信者の裾野を広げていく。流通品が市場拡大していく段階の文脈としても捉えることが出来るんじゃないかね。

でもね、それは原案の真姫ちゃんではないの。アニライブ!の真姫ちゃんはあくまでもアニメの真姫ちゃんなの。だから、アニメ版ラブライブ!はパラレル。GODの原書から派生したツリーのひとつ。可能性のひとつ。原案で触れられなかったμ’s結成を描いてるからエピソード・ゼロに据える考えも無いではないけども、自分は賛成しない。

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今更だけどアニメはじまってから日記ではラブライブ!のこと全然触れてなかったよ。Twitterで他所様のTL汚しまくってたからてっきり日記にも書いたと勘違いしてたんだけど、アニメも終わったしここらで日記にまとめてみようかと。

ああ、断るまでもないかと思ったけど念の為。『個人の感想です』。

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で、冒頭のキャラ改変に戻るわけだけども。

うまく記号化に成功したポイントもあると思うんですよね。
個人的には、例えば花陽が「アイドルに憧れ続けた引っ込み思案の女の子」になったところ。京極監督の「女の子の成長ドラマをキチンと書きたい」という思いがよく現れてる……意地の悪い言い方をすれば作劇に要請された性格設定だったわけだけど、それだけにそれを活かした4話はよく出来てた。花陽にとってアイドルは、内気だった自分がChangeできる、日陰の花ではなく陽の当たる場所に咲くために獲得したい場所だったんだなと。

同様にエリチやにこのアイドルに対する姿勢、穂乃果のそれもうまく脚本と絡まってて、印象的な場面を作り出してた。分かりやすくされた性格の中でも作中で拾ってもらえた、あるいは作中で拾うために変えられた性格は概していい化学変化をもらたしたと考えてる。

もちろん、そうはいかなかった設定変更もあるんだけど。

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穂乃果は設定を変えたと云うよりは、備わってた要素を極端にしたという感じなので違和感は感じなかった。むしろテンション高く動きまわる穂乃果は魅力的で、どこに出しても恥ずかしくない主人公してたなと思う。11話で突然周りが見えない子になっちゃった感はあるけど、不満はまあそれ位。

ことりは原案とアニメでイメージの乖離が最も少ない娘じゃないかね。アニメ化してからはキャストがそこら中のアニラジに引っ張られてたわけだけど、大抵ことりちゃんのことは「女の子らしい女の子」って言うのね。12話~13話での穂乃果とのやりとりも含めて、確かにこじらせると面倒くさい、女の子らしい女の子だったなとは思う。

海未ちゃんはこんな娘だったっけ?と思うくらい、序盤は妄想癖がエスカレートしてたけど、考えてみたらG’sやCDドラマだと大抵「あなた」がいるんだよね。女子校で気の置けない友人の前では堅物も別の顔を見せる、と解釈すれば不自然ではないかもしれない。まあ脚本の都合で、メインストリームの廃校×アイ活路線ではワリを食った印象が強い。もともと押しの強いキャラではないが。

真姫ちゃんについては冒頭で書いた通り。アニメで新規ファンを獲得しての中間1位なのか、原案路線でじわじわと増えていったファンが奮起した1位なのかは分からないけど、個人的にはアニメ版真姫ちゃんに全く魅力を感じない。全く。

凛ちゃんはなんというか、スパロボで言うところの「いるだけ参戦」に近いものを感じた。天真爛漫なμ’sのムードメーカー、ボーイッシュで元気いっぱい、勇気凛々な凛ちゃんは、好きな人にはすぐくっついちゃう甘えん坊な女の子――という性格を作劇に落とし込むことは早々に放棄したのか、天真爛漫というポイントにフォーカスしてズケズケものをいう娘になってしまった。可愛らしい格好をすることへの抵抗、スカートを履く決意、そういったところを4話のわずか数秒、しかも映像だけで処理されたら、もう巻き返す場所は無いよね。

花陽はアイドルへの憧れって点が脚本上の成功を収める一方で、それ以外の個性は持て余したね。結果が5話以降の空気っぷりであり、中間発表の順位だよ。一つのエピソードを完結させるために作られた個性だもの、4話が終わったあとで花陽そのものとして語れるものにはならなかった感。

エリチも過去やスクールアイドルへの思いというのは脚本のために用意された個性だったね。前半の、不自然なまでに穂乃果たちに辛く当たって空回りする姿勢が7話8話で昇華してぼらららに繋がる展開は、流石!と膝を打ったものだった。花陽と違って助かったのは、エリーがもともとμ’sのお父さん、海未ちゃんと並んでブレーキ役だった事が大きい。新たに付加されたパーソナリティが役目を終えてからも、普段は落ち着いていて/ちょっとお茶目な/みんなの頼れる/まとめ役というもともと持っていた個性が話を転がす上で重宝されたというか。

希はこれ、何が正解だったのかな。個人的には原案のおっさん臭さとエキセントリックな言行録にはやや引いてたんだけど、アニメの達観したキャラは良かったんだろうか。中間8位という経過だけ見ると成功したとは言いがたい気がするけど、アニメの暗躍ぶりは好き。
これも脚本上必要に迫られて発揮した個性だけど、μ’sを見守り、導き、東に意地を張ってるエリチがいれば直言し、西に素直になれない真姫ちゃんがいれば側で支えてあげる。アニメのラブライブ!でμ’sが9人になるために必要な人だったと思うがね。惜しむらくは、それ以外の属性、タロット・巫女・セクハラ、どれひとつとしてモノにならなかったところか。
まあもともとキャラが固まらずにフラフラしてる感じは強いから、超然とした影のゴッドファーザーという位置づけでしばらく頑張ってみてもいいのかもしれない。

矢澤にこは別人だ。
言っちゃ悪いが関係者全員が「易きに流れた」んだろうと思ってる。京極監督も、花田某も、徳井青空も、受け手であるラブライ部員も。無邪気で儚げな天性のアイドル……だった筈なんだがなあ。
ただ、にこのキャラってYou&Iの世界観でしか成立しないんだよね。アニメになれば第三者視点からμ’sを眺めることになる。Iが消えてTheyになったとき、原案のにこのキャラは動きようがないし、動いても面白くない。
夏色PV以降のお調子者キャラ移行は1stLiveのショートドラマで盛り上がりを見せ、中の人が多くない声優キャリアの中で演技の引き出しから取り出した譲崎ネロに引っ張られ――という見方は邪推か。
アイドルにかける思い、ただ一人続けてきたアイドル研究部やμ’s休止後のにこりんぱななんかを見ても穂乃果へのカウンターポジションとして美味しい役だったはずなんだがなあ。真っ直ぐな子、真面目な子が揃ってしまったμ’sの掻き回し役として5話以降泥を被った感は否めない。

ここまで書いといてなんだけど、ガンの感想とだいたい同じこと言ってるな。

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これまで、ストーリーの必要に迫られて用意された性格は概ねうまくいったと主張してきた訳だけど肝心のストーリーはうまくいったのか、合格点なのか。

結論から言っちゃうと、自分は満足してます。Re・Pure方式かスクールアイドル戦国時代になるような2期なら要らない位。

そもそも廃校阻止のためにスクールアイドルになる、という企画の根幹が非現実的。しかも解決しちゃったらそれで終わりなこの設定にどう立ち向かうのか、興味深く見守ってたんですよ。案の定3話で穂乃果が「続けます!(略)ここを満員にしてみせます!」とか言いはじめて、アイドル(手段)が目的化してるなと心配してたんですよ。
でもそこからが見事だったというか、4話で花陽が彼女なりのアイドルへの想いを語り一歩を踏み出し、5話でにこがアイドル観を強く訴え心を開き、7話でアイドルを遊びと断じたエリーがかつての夢と向き合う。8話にして同じグループに集ったμ’sが、12話で道を見失った穂乃果を支え、励まし、手を取って背中を押す。

実質的に、廃校阻止って名目は3話で意味を失ってるんだよね。廃校阻止はあくまできっかけ、お題目、とっかかり。ラブライブ!のテーマは「少女たちは母校の廃校を阻止できるのか!?」ではない。描きたかったのは少女たちの成長だっていう京極監督の考えは十分伝わってきたし、ストーリーテリングとしても上手いもんだったと思うよ。
終盤の展開が2年生3人組に偏り過ぎてるきらいはあるけど、西田亜沙子さんだったかな、「2年生3人組ではじまったお話が周りを巻き込んで、最終的に3人組に収束していく」って評したのは。うまいまとめだと思う。

少なくともお話の縦糸に関しては「こうすればもっと良かった」的な素人采配さえ浮かばないかな。

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Twitterではハッシュタグも付けずにギャーギャー喚いてたけど、やっぱり楽しかったよ3ヶ月。気になるのは今後かな。3誌合同企画にブシロマネーが入り込んでて、規模自体は相当大きくなれると思うんだ。それに見合った中身を維持し続けられるか、事務所も仕事量もバラバラな9人をまとめていけるのか、何人かはアラサーに片足突っ込んでるのにパフォーマンスを維持できるのか。
自分がラブライブ!に興味を持ったきっかけが中の人だったんで、アニメより原案よりキャストがどうなるのか、というのは気になる。

それにしても、スタッフは本当にお疲れ様でした。毎回作画に力を入れつつCGダンスを突っ込みながら、ついに作画の乱れ無し。これが8スタという奴なのね。

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