いつも通り、思い込みと偏見の可能性を否定できない内容です。広い心でお付き合いください。
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初日・2日目は武道館現地、3日目はTOHOシネマズ日本橋LVで参加してきました。
4年間、一歩ずつ前に進み続けてきたミリオンライブ!の現在を素晴らしいパフォーマンスで見せつける、そんな内容でした。そう、一歩ずつ前に進み続けてきたミリオンライブ!の「現在」を見せつける、華美でいて儚く、熱狂の裏に冷徹さが潜む、そんなライブでした。
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初日
席は2階北東スタンド……北東!?鬼門じゃねーか!と言うのは置いといて、ステージを斜め後ろから見ることになるんですけど……大型ビジョンがすごく見やすい場所にあるのはありがたいが。そのビジョンに、今回のライブを後援したプロデューサーの名前がスタッフロールよろしく流れていく。しかしこれ、杏奈とか奈緒みたいなPの母数が多いアイドルはフォントが小さくなるのが面白い。自分の担当アイドルについて?特に言うことは無いよ。
では開演。以下雑感。
サンシャイン衣装は白を基調に赤のラインと青い差し色が上品で、鎖骨周りが大胆に開いてるもんだからかなり大人っぽく感じた。元気いっぱいのサンシャインリズムのメンバーが着るもの、と言うよりは攻めの姿勢を見せたフライトアテンダントの制服みたいな印象。
そしてゆい㌧が腹出しに挑戦。みんなアイドルなんだし、鍛えた肢体、整えた肌を披露してもいいと思うんですがね、性のアイコンになるのが嫌なんでしょうか。ああでも、自分も3日目のうえしゃまでブーメランしてくるからなこの思いは。
レオ(ロコ・エレナ・育さん)は実際に舞台に立ったときのちんちくりんっぷりが凄い。んで、ダンスで©の脚が上がっててびっくり。見違えた。ただ相変わらずキメの表情ではカッと目を見開いてるのでかっこいいとか可愛いとか以前に怖い。
MCを支える宣言をしたぜっきー、きちんと有言実行。ミリオンはMC回せるプロパーが少ないから頑張って欲しい。
今回はソロ⇒ソロ⇒ソロ⇒ユニット⇒MCという分かりやすい構成。ソロの終わりから次の曲のはじまりの間はバトンを渡すようにアイドルが並び立ちシームレスに移行するからぶつ切り感がなくてテンポ良し。続けて欲しいくらいイイ演出だけど、単純に覚えること増えるから大変だろうな。
そして序盤からおまじない⇒Happy Darlingでオイオイオイ死んだわナギP。
木戸ちゃんはEternal SpiralといいNo Curry No Lifeといい、エキゾチックな妖艶さを持つ曲に縁があるな。
MCでカレー=彼だと気づく。「あなた無しでは生きてゆけない」だったのか。我ながら鈍すぎる。
それにしたってユニット曲で堂々たるセンターを務めたぜっきーの成長ぶりは言及しすぎってこともないでしょ。ファイアーしか装備できないわ追撃食らうわなLv1まどうしが、サンダーで適当に敵増援を壊滅させるくらいに成長した気分だよ(分かりづらい例え)
綺麗な紅白の髪飾りをエミリーに送ったのは仕掛け人様ということで、非常にいい仕事をした。3日目の蝶々さんが付けてたアゲハチョウの髪飾りもPからの送り物ということで、実際ライブで活かされたんだからP冥利に尽きるというもんじゃないだろうか。
初日は余裕があったのでケータイ(機内モードにしてました)に書き留めておいたメモを見ながら感想を書いてるところなんだけど、「ぜっきーの低音いい」「いやぜっきー凄いわ」「ぜっきーキリッとして……」とかばかりで、メモの意味を成さないことこの上ない。
んで、ソロ・ユニットが4セット終わったあとに暗転。からのかっこいいギターサウンド。創造は始まりの風を連れて、だ。3面ある大型ビジョンが真紅に燃え上がり、5人のシルエットが明らかになって百合子が歌いはじめる。え、百合子が?みっくが!?
5人中、初日に出演者としてクレジットされていたのは村人A役のロコのみ。村人のために駆けつけた勇者・妖精・魔王・四天王(兼役)という謎の状況に頭が追いつかないけど普段可愛い曲をキラキラした笑顔をたたえながら歌う伊藤美来の凛々しい表情、紅いカラーコンタクトを仕込んで魔王の貫禄たっぷりの小岩井ことり、頬が少しすっきりし成長のあとを伺わせる麻倉もも、長いツーテールが挑発的に揺れる村川梨衣がそこにいた。……まさかTA01フルメンバーを揃えてくるとは!しかも厚みのある青と赤のツートーンが豪奢な新衣装!
歌い終わったあともサプライズには特に触れないままざわつく場内で、LTDで披露の機会がなかったEmergence Vibeが流れる。その後も複数人曲が幾つか続いて盛り上がってからの、Growing Storm!は幕張に続いてのフルメンバー!5人中2人しか出演発表されてなかった日なのに!
終演の挨拶では自分が演じるエレナへの思いを涙ながらに語った©が印象に残った。他の演者がアイドルと自分の距離を詰めて、人によってはライブ中は降ろしてるんじゃないかと思われる中、エレナを演じることに悩んでたんだろうなってのはよく伝わる。自分も3rdでは、なんでエレナの中の人がノームなんだよハイエルフ連れてこいとか日記に書いてたし(見直したらもっと酷いこと書いてた)。
ただ、演者とキャラクターを重ねる傾向が特に強い自分が言うのもなんですが、軸足がアイドルに寄りすぎるとコンテンツ終了後の声優さんたちが心配になるんですよね。ライダーを演じてから業界内でイメージが固定されて困った藤岡弘、しかり、アイドルとの一体化はリスクも伴う。
そんな想いを抱きつつも、カザーブ東でレベル上げしてたら川沿いエンカウントでまほうおばばにベギラマ喰らってPTが壊滅したような初日は大盛り上がりで幕を閉じた。翌日はブルームーンハーモニー。予想されるセットリスト的には本番だけど、サプライズは既に予想されている。どうくるのか。
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2日目
Q.どうくるのか。A.レベルを上げて正面から。
この日と3日目はメモが一切残ってない。理由はまあ、クオリティに圧倒されたからなんですが。
開幕とともにメロディアスな音楽をバックに現れたメンバーの身を包むのは白と紺のグラデーション。中でもみっくは月夜の湖面に舞い降りた天使然としていて、動くたびに揺れる剥き出しの小さな肩と大きな三日月のイヤリングを見ていると、Pたちが歓喜の中で原罪の告白でもしかねない尊さだった。
そして初めて見る生の可憐。ゆんこんに対しても最初は「うちの可憐はもっと……!」というスタンスだったけど、この日の堂々たる歌い方、立ち居振る舞い、初見の人にはおどおどするのに慣れてくると途端に扱いがぞんざいになるところ……。人気曲であるBlue Symphonyを歌うまでになったことで、可憐を演じるのが近藤唯でよかった、彼女を宜しくお願いします、という神妙な気持ちになった。アイドルとしてもだけど、Pとしてはもともと尊敬。MCでスキルの名前に触れたり「このSRの衣装と一緒で……」とか早口になるところ、終演後の打ち上げガシャを3回まわして新規を含むSR4枚を手に入れてるあたり、半端なPではない。
Raise the FLAGで普段ぽや~っとしたところのある真壁瑞希の、キリッとしたカッコよさをみせた阿部里果さん。「ライブハウス武道館」でギターを掻き鳴らす愛美(半信半疑だったけど今回オペラグラスで手元を見て、どうも本当に引いてるらしいとようやく理解)、北上麗花のカドの無い奔放さを歌声にしたかのような透明で伸びのある平山笑美さん、そしてベイによる待ちぼうけのLacrimaは、くるぞくるぞと分かっていてもお手上げな歌唱力……というか背筋が凍りそうになるほどの表現力。
開幕で子豚ちゃんたちには啼き声を、天空騎士団員には7つの誓いを叫ばせ、武道館に舞うことは叶わなかったけどステージから1メートル空に近づくことができたと笑い、如月千早に自分を重ね天海春香に救われた仄暗い学生時代を振り返り、最後に全てのPに祝福を授けた小岩井さん。3rdのメイキングで涙する姿にチョロいPはすっかりやられてるんだろうな、しかし自分はそうはいかなチョロいPでしたこっこちゃん大好きですすみません。
サプライズも、来ることがわかっているなら面白くない?No、来ることがわかっているサプライズは新鮮さを失うんじゃなくて、期待を煽る。そしてその期待が完璧な形で叶えられたとき、見る側は満足感と喜びに快哉を叫ぶんだろう。
ンな回りくどい言い方をしなくても、赤い世界が消える頃からはじまる後半戦は3rdでやらなかったMarionetteは眠らない、やBlueSymphony、ミルキーウェイのフルメンバー(歌中台詞にもう一人)による星屑のシンフォニアとクレシェンドブルー全員によるFloodingという怒涛のような――本当に、押し流されるような「カッコイイ」曲の洪水に、思わず体の底からコールが、歓声が、叫び声が溢れて(Flooding)くる。
自分の参加したライブに点数を付けた場合の最高点が2年ぶりに更新された2日目が終わったものの目新しい発表はなかった。上がりきったハードルを、3日目はどうやって超えてくるのか、期待よりも緊張と不安で落ち着かない3日目がはじまる。
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3日目、開演からアンコールがはじまるまでの体感は10分。実際にMCを巻いたおかげで初日・2日目より若干短時間だってのもあったけど、それにしてもライブを聴くだけではなく参加することの楽しさと夢見るような盛り上がりで、もう終わり!?って気持ちになったのは事実。
それから、「もう終わり……?」って気持ちになったのも事実。
スターライトメロディの衣装は白地に黄色と青。襟の部分がセーラー服っぽくてスクールファッション感があり、サイドの髪飾りも可愛らしい。
例によってうえしゃまに注目してたんですが、いつもと髪飾りの位置が逆だったよね。おやっ?て思った。
予想されるセットリストの中でリフレインキスを楽しみにしてたのは認めるけど、個人的に上田麗奈をセクシーさのアイコンにして欲しくない思いもあるので、うえしゃまセンターの「ねぇ……しちゃう?」で会場のテンションがおかしなことになってたことについては複雑。もちろん、時にカッコよく時に妖艶さを滲ませる曲を演りきったことへの賞賛はあるけど、素直に射精ですとは言えない。ごめん、このパワーワードを使いたかっただけだわ。
前日夜の思いつきでPたちにウェーブを要求し、盛り上がりに盛り上がった素敵なキセキを受けて登場したのは蝶々さん。ぎこちなかった3rdに比べて、柔らかく楽しげにハッピ~エフェクト!を歌う様に思わずこっちも笑顔と言いたいところだけど、さっきまでぴょん吉が湧かせていた会場に、(ハッピ~エフェクト!がコールを入れる曲じゃないだけに)自分の声だけが響く状況を本人がどう捉えていただろうという不安が募った。煩いコールはノーサンキューだけど、「大丈夫だよ」「もっと歌って」というポジティブなレスポンスとしての意味があるなら、ステージで孤独に歌うアイドルを勇気づけられるのかも、という考えに変わりつつある。それでも警報は嫌いだけども。
間奏部分をしっかり歌いきったヒップホップ、Sweet Sweet Soulが終わると、さあうえしゃまのソロだ。ここまでのソロはトキメキの音符になって、フェスタ・イルミネーション、素敵なキセキ、デコドリ、dear... 、オレンジの空の下、全てがLTP曲。目指し続けた武道館の地で最初のソロ曲を歌うことに意味があるというスタッフの想いが伝わってくるセットリストだ。UOを折る準備はできている。さあエレキの音に導かれて――ココr
……恋愛ロードランナーかぁ……
いやダンサーを引き連れず唯ひとりでステージに立つ珍しい曲だし、こちらに突き付ける真っ直ぐな視線と指、コールの誘導や歌い終わりの「大好き」とか見どころは多いから恋愛ロードランナーが嫌いなわけじゃないけど、武道館で歌うのがココロ☆エクササイズじゃないんだという失望は隠せない。
ただ、続いたUp!10sion♪Pleeeeeeeeease!は松田の可愛さが弾けてたし、MCで本人も触れてたけど、高いところから見下ろすように歌うライアー・ルージュは天さんの表情が素晴らしかったので多少は救われたかもしれない。
そしてお馴染みとなったサプライズパート。勿論、3日目は侠気乱舞からスタート。悪徳組長の声が出てないというトラブルはあったものの、間奏で魅梨音組と木下組が拳を掲げ合う演出はバッチリ決まってた。
それ以上に驚いたのは愛美で、2日目の時点で髪色をジュリアの赤に染めてきたのは分かったけど、3日目はウェーブのかけ具合がちょうど良く今までにないほど2次と3次の境界が揺らいでた。
この日は高橋未奈美も髪色と髪型に手を入れて、完全にこのみ姉さんだ……って具合だったし、さっきは役者が役に寄せすぎるのは危険だって書いたものの、ステージの上で1人じゃない、2人分の力が出せるってメリットもあるのかなと。ステージ巧者の伊藤美来でさえ「自分が百合子に相応しいのか分からなかった」「百合子に助けてもらった部分もあるし、自分が百合子を助けてあげられる部分もあった」と語るほど、見る側にとって華やかな舞台は演者にとって底なしの暗い穴の姿に擬態しているのかもしれない。演者とキャラクターの結びつきが強まることで彼女たちが気丈に輝けるなら、アリかもしれないね。
で、侠気乱舞を受けて出てきたのはlittle trip around the world。この曲ね、仙台のBDではじめて見たんですけど、振り付けがすごく可愛いんですよ。ぴょんぴょん跳ねてクイッと手を広げ、腰を曲げてはいポーズ。
が、武道館ではオミット。Marionetteは眠らない、もPrecious Grainもライアー・ルージュも振り付けが簡略化されてる部分があったのは残念。ただ、毎回が自分にとってのベストであるはずもない。自分好みのパフォーマンスはBDで。まあ今回はブーツが今まで使っていたものに比べてヒールが高い(ように見える)のも、影響を与えてるかもしれないけど。初日にゆい㌧がよろける場面もあったしね。
君との明日を願うから、で名前を呼ばれて涙ぐむMachicoにもらい泣き、ってわけじゃないけど、いい曲になったなあこれも。そして驚きの新曲発表とともにアンコールへ。
……いや、まあ、本来は田中琴葉がセンターで踊るべき場所を空けた不自然なフォーメーションでやりきって、サプライズ登場のゆきよさんが「散々迷ったけど恵美がどうすべきか教えてくれた」と語る、オリメンのジレるハートに火をつけて、について書かないわけにはいかないでしょ。3日目、最も耳目を集めたのは間違いなく「田中琴葉」だった筈だから。
昨年9月から休養している種田梨沙復活のライブになるのか、ひとりだけ真っ白だった寄せ書きにメッセージが書き込まれることはあるのか、声だけの出演は、何らかのメッセージは……個人的にはエリーチカが不在だったμ’sのNewYearライブ(絢瀬絵里抜きだから公式には2ndライブと言われてない。μ’sの2nd扱いするとラブライ部員おじさんに怒られるぞ!)みたいな扱いになるんだろうな、でも踊ってるアニメーション無いからカード画像を大型ビジョンに表示するのかな、ますます遺影扱いされるな……と要らぬ心配をしてた。
スコーピオはジャケットに琴葉はいるものの、歌詞カードは上田・雨宮・村川の3人だから仕方ない。じゃあ灼熱少女はどうか(765のメンバー無しでユニットとして成立するのは3組。乙女ストームとクレシェンドブルーは初日・2日目でやったから最終日を灼熱少女が締めることになるのは予想できる)、センター琴葉をどう扱うのか。そのアンサーが、間奏で「灼熱少女は5人」と宣言したことだった。
感動的な場面であるとともに、ああ言っちゃった、と嘆息した場面でもあった。
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アニメアイドルコンテンツに造詣が深いわけではないけど、μ’sに無くてアイドルマスターにある強み、WUGが持ち得なくてI-1Clubが備えている強みこそが「相互補完性」とでも呼ぶべきものだと考えてる。
というか、最初アイマスのライブに参加したときびっくりしたんですよね。オリジナルメンバーが揃ってないのにユニット曲を歌う、むしろそれをライブ限りの特別版としてPが好意的に受け止めていることに。
当時自分はμ’sしか知らなかったから、例えば「Beat in Angel」を(Pileではなく)久保ユリカと飯田里穂が歌っても何一つ納得できなかったと思うんですよね。
でも、構成人数が多いアイドルマスターは全員参加を前提としていない。765プロには既婚者も在籍してるし、シンデレラはそもそも何人いるんだ?コンテンツの作り方が違う。他の仕事、体調不良、ケガ、穴が空いても別のメンバーが埋められる、という組織としての強さみたいなものを感じた。
(最近見た)Wake Up,Girls!でも丹下社長が「7人揃ってWUGなのよ」とこぼしていた場面で、WUGはアイドルの祭典で栄冠を手にしても長続きはしないだろうなと、絶えず新陳代謝を繰り返し、新しい力を手に入れ続けるI-1Clubに勝ち続けることは出来ないだろうと思った。例えば誰かが一般人に恋をしてアイドルを止めたら?もっと直接的に加齢によってアイドル活動が先細りになったら?I-1が切り捨てと新メンバー加入で対応できることが、WUGにとっては致命傷になる。それも、時間から逃げられない以上、必敗だ。
ミリオンライブ!は田中琴葉の帰りを待って、37人で未来へ進む道を選んだ。弱みを受け入れ、リスクを負うことになってもだ。藤井ゆきよは今年で32歳になる。上田麗奈、伊藤美来、TrySail、愛美らは自分たちが立つべき場所を他にも持っている。既婚者である野村香菜子、斉藤佑圭が家庭に入ったら?残酷な話、声優の道を諦めるメンバーがいてもおかしくない。火傷で、病気で、事故で外見に大きな傷を負ってしまったらどうする?37人全員が何事もなく揃い、十分な時間的拘束を受け入れてコンテンツが成立する――可能だろうか。可能であり続けることができるだろうか。
そうでなくてもミリオンライブ!は少なくとも2つの問題を抱えている。ひとつは765プロと地続きであること。765Proの提灯持ちになっては新アイドルを出す意味が無いし、765Proを蔑ろにすれば旧来のアイマスファンの怒りを買うだろう。中の人、ファンからも合同ライブを望む声は多いけど、それは本当に可能なのか。コンテンツを発展させるための手段になるのか。
なにより、多くのPが望んでいるであろうアニメ化をどうするのか。ゲッサン版ミリオンライブ!はピンチに駆けつける先輩ライダー的な立ち位置でかなり上手く料理してたと思うけど、他に手段があるだろうか。輝きの向こう側へ、にミリオンのメンバーが出演したことをパラレルにするのか、正史として引き継ぐのか。
そもそも、10年以上前に作られたキャラクターたちへの受容性が高いとは思えないという懸念もある。市場で無視できない中学~大学生にとって765Proのアイドルは自分が子供の頃に出来たキャラクターだ。
もうひとつの問題は、37人という固定メンバーを掘り下げていく展開を取ったために新規加入アイドルがありえないという構造にある。コンテンツのはじめから全員に声が付いている、しかも新人や各事務所が売り出し中のメンバーで声優ともども押していこう、というミリオンライブ!の仕組みは、新しい血が入ってこないために新規ファンの獲得が難しい悩みと表裏一体だ。シンデレラのPが「あのアイドルに声がついた!」と喜んでいる様とは対照的に。
事務所を765Proにしたことにせよ初期から全員に声を付けた仕掛けにせよ、初動ブースト、先行逃げ切りを狙った作戦だったと思う。というか時間が経てば経つほど不利に働きすぎる。さらに今回の琴葉騒動。種田氏に責任をかぶせるつもりはまったくサラサラ無いけど、琴葉が帰ってきてくれないとアニメ化も次のライブさえ目処が立たなくなってしまっている。
そこへ来て3日目の大きな発表は新しいソーシャルゲームのプラットフォーム。偉い人たちの考えは分からないし自分の意見が的外れであることを願うけど、個人的にこれほどゾッとした、正気を疑う発表は初めてだった。
PVではスマートフォンで3Dレンダリングされたミリオンスターズたちが笑顔で踊っている。言うまでもなく、大ヒットしているシンデレラガールズ・スターライトステージを髣髴とさせるものだった。
ジャンルさえ明らかになっていないけど、音ゲーであろうとなかろうと成功・失敗の本質はゲームジャンルじゃない。今ミリオンライブ!がデレステの真似をしても90%失敗する(流石に100%とは言えない)と思う理由は、両者がリリースされる環境が全く違うことにある。
デレステは、アプリゲームがアニメ化して爆発的にシンデレラガールズの知名度が上がり潜在的なプレイヤー層が増えていたものの、古参ひしめくガラケーでいまさら一からはじめるのは……という層に、みんながゼロからスタートできる新しい遊び場を提供した。折しもスマホ向け音ゲーでスクフェスのシンプルさが飽きられつつあった頃に、目を疑うようなクオリティで展開されるアイドルたちはさぞ新規プレイヤーの心を掴んだだろう。デレマスからの乗り換えも勿論あっただろうけど、概ねアニメからの新規はデレステ中心、それ以前からのファンはデレマス中心と住み分けがなされたのではないだろうか(完全に推測です)。
では、ミリオンの新作、Theater Daysはどうか。潜在的なプレイヤー層が増えていない状態で新しいソーシャルゲームを発表して、旧来のミリマスPが単に分裂するだけではないのか。道行くライトオタクに「アイマス知ってる?」と訊いてみるがいい。シンデレラの話になるか、せいぜい765Proの話になるかのどちらかだろう。武道館でライブをしたとしてもミリオンライブ!の知名度なんて比べるべくもない。
課金するかも分からないライト層は狙ってない、一部の重課金者がたくさんお金を積めばよい、成る程そういう考え方もある。
でも、「世間で流行っている」という空気作りが大事なのは言うまでも無いと思う。毎月100万円課金してたPが倹約に目覚めたら?別の、より夢中になれるコンテンツに乗り換えたら?ブシロードの木谷社長が口にするように、新規を掴めなければコンテンツは長生きできない。ゲームそのものの面白さも大事だけど、キャラクタービジネスである以上、釣り糸を垂らす池にどんな魚が住んでいるのかちゃんと確認したのか、たまらなく不安だ。素人のくだらない取り越し苦労だと本当に嬉しい。
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でもまあ、アニメ化は無し、めぼしい発表は新しいソーシャルゲームのみ……という状況にガックリ来たのは事実だけど、悲観してばかりでもない(実際、新しいソーシャルゲームは種田氏の休養とは何の関係もないと思ってる。休養から半年でイチから企画を練って、社内決裁を通し、見られるPVまで作れるとは思えない)。
武道館3日目のラスト、36人のアイドルと、大型ビジョンに映る37人目、田中琴葉のモデルが踊り、みんなで歌い上げた「Thank you!」は4年間見守ってきたPに対してのアイドル達からの感謝。そしてこれからも宜しくという挨拶だった。
雨宮天は「志保さんならもっと先へ行ける」と言った。武道館ライブは集大成だったが、これで終わりじゃない。新曲「Brand New Theater!」が示すとおり、新しいシアターの未来がその先にある。翼が無いから飛んで行くことは出来ないけど、静香に一歩ずつ前へ進む、そんなアイドルたちを見守りたい。
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P.S.(書いてる途中で差し込む場所が見当たらなかったトピック)
・でも坂上Pについては信用してないから、全く油断できない。
・3日目の近藤唯さん、完全に可憐でした。ありがとうございます。
・アンコール後のMCでぴょん吉がこれまでのプロデュースに感謝を述べる場面、死に別れみたいな縁起でもないことはやめろ!俺が欲しいのは感謝じゃなくて叱咤、見たいのは頭を下げる姿じゃなくて先に進む背中なんだよ!と頭を抱えてました。
・こんな批判的な文章書いといてなんですが、ミリオンライブ!は本当に楽しいコンテンツなので、もっと多くの人に触れて欲しい。若く可愛いアイドルたちが時に突飛に時に真面目に頑張る姿はアラサー以上に刺さると思う。
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初日・2日目は武道館現地、3日目はTOHOシネマズ日本橋LVで参加してきました。
4年間、一歩ずつ前に進み続けてきたミリオンライブ!の現在を素晴らしいパフォーマンスで見せつける、そんな内容でした。そう、一歩ずつ前に進み続けてきたミリオンライブ!の「現在」を見せつける、華美でいて儚く、熱狂の裏に冷徹さが潜む、そんなライブでした。
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初日
席は2階北東スタンド……北東!?鬼門じゃねーか!と言うのは置いといて、ステージを斜め後ろから見ることになるんですけど……大型ビジョンがすごく見やすい場所にあるのはありがたいが。そのビジョンに、今回のライブを後援したプロデューサーの名前がスタッフロールよろしく流れていく。しかしこれ、杏奈とか奈緒みたいなPの母数が多いアイドルはフォントが小さくなるのが面白い。自分の担当アイドルについて?特に言うことは無いよ。
では開演。以下雑感。
サンシャイン衣装は白を基調に赤のラインと青い差し色が上品で、鎖骨周りが大胆に開いてるもんだからかなり大人っぽく感じた。元気いっぱいのサンシャインリズムのメンバーが着るもの、と言うよりは攻めの姿勢を見せたフライトアテンダントの制服みたいな印象。
そしてゆい㌧が腹出しに挑戦。みんなアイドルなんだし、鍛えた肢体、整えた肌を披露してもいいと思うんですがね、性のアイコンになるのが嫌なんでしょうか。ああでも、自分も3日目のうえしゃまでブーメランしてくるからなこの思いは。
レオ(ロコ・エレナ・育さん)は実際に舞台に立ったときのちんちくりんっぷりが凄い。んで、ダンスで©の脚が上がっててびっくり。見違えた。ただ相変わらずキメの表情ではカッと目を見開いてるのでかっこいいとか可愛いとか以前に怖い。
MCを支える宣言をしたぜっきー、きちんと有言実行。ミリオンはMC回せるプロパーが少ないから頑張って欲しい。
今回はソロ⇒ソロ⇒ソロ⇒ユニット⇒MCという分かりやすい構成。ソロの終わりから次の曲のはじまりの間はバトンを渡すようにアイドルが並び立ちシームレスに移行するからぶつ切り感がなくてテンポ良し。続けて欲しいくらいイイ演出だけど、単純に覚えること増えるから大変だろうな。
そして序盤からおまじない⇒Happy Darlingでオイオイオイ死んだわナギP。
木戸ちゃんはEternal SpiralといいNo Curry No Lifeといい、エキゾチックな妖艶さを持つ曲に縁があるな。
MCでカレー=彼だと気づく。「あなた無しでは生きてゆけない」だったのか。我ながら鈍すぎる。
それにしたってユニット曲で堂々たるセンターを務めたぜっきーの成長ぶりは言及しすぎってこともないでしょ。ファイアーしか装備できないわ追撃食らうわなLv1まどうしが、サンダーで適当に敵増援を壊滅させるくらいに成長した気分だよ(分かりづらい例え)
綺麗な紅白の髪飾りをエミリーに送ったのは仕掛け人様ということで、非常にいい仕事をした。3日目の蝶々さんが付けてたアゲハチョウの髪飾りもPからの送り物ということで、実際ライブで活かされたんだからP冥利に尽きるというもんじゃないだろうか。
初日は余裕があったのでケータイ(機内モードにしてました)に書き留めておいたメモを見ながら感想を書いてるところなんだけど、「ぜっきーの低音いい」「いやぜっきー凄いわ」「ぜっきーキリッとして……」とかばかりで、メモの意味を成さないことこの上ない。
んで、ソロ・ユニットが4セット終わったあとに暗転。からのかっこいいギターサウンド。創造は始まりの風を連れて、だ。3面ある大型ビジョンが真紅に燃え上がり、5人のシルエットが明らかになって百合子が歌いはじめる。え、百合子が?みっくが!?
5人中、初日に出演者としてクレジットされていたのは村人A役のロコのみ。村人のために駆けつけた勇者・妖精・魔王・四天王(兼役)という謎の状況に頭が追いつかないけど普段可愛い曲をキラキラした笑顔をたたえながら歌う伊藤美来の凛々しい表情、紅いカラーコンタクトを仕込んで魔王の貫禄たっぷりの小岩井ことり、頬が少しすっきりし成長のあとを伺わせる麻倉もも、長いツーテールが挑発的に揺れる村川梨衣がそこにいた。……まさかTA01フルメンバーを揃えてくるとは!しかも厚みのある青と赤のツートーンが豪奢な新衣装!
歌い終わったあともサプライズには特に触れないままざわつく場内で、LTDで披露の機会がなかったEmergence Vibeが流れる。その後も複数人曲が幾つか続いて盛り上がってからの、Growing Storm!は幕張に続いてのフルメンバー!5人中2人しか出演発表されてなかった日なのに!
終演の挨拶では自分が演じるエレナへの思いを涙ながらに語った©が印象に残った。他の演者がアイドルと自分の距離を詰めて、人によってはライブ中は降ろしてるんじゃないかと思われる中、エレナを演じることに悩んでたんだろうなってのはよく伝わる。自分も3rdでは、なんでエレナの中の人がノームなんだよハイエルフ連れてこいとか日記に書いてたし(見直したらもっと酷いこと書いてた)。
ただ、演者とキャラクターを重ねる傾向が特に強い自分が言うのもなんですが、軸足がアイドルに寄りすぎるとコンテンツ終了後の声優さんたちが心配になるんですよね。ライダーを演じてから業界内でイメージが固定されて困った藤岡弘、しかり、アイドルとの一体化はリスクも伴う。
そんな想いを抱きつつも、カザーブ東でレベル上げしてたら川沿いエンカウントでまほうおばばにベギラマ喰らってPTが壊滅したような初日は大盛り上がりで幕を閉じた。翌日はブルームーンハーモニー。予想されるセットリスト的には本番だけど、サプライズは既に予想されている。どうくるのか。
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2日目
Q.どうくるのか。A.レベルを上げて正面から。
この日と3日目はメモが一切残ってない。理由はまあ、クオリティに圧倒されたからなんですが。
開幕とともにメロディアスな音楽をバックに現れたメンバーの身を包むのは白と紺のグラデーション。中でもみっくは月夜の湖面に舞い降りた天使然としていて、動くたびに揺れる剥き出しの小さな肩と大きな三日月のイヤリングを見ていると、Pたちが歓喜の中で原罪の告白でもしかねない尊さだった。
そして初めて見る生の可憐。ゆんこんに対しても最初は「うちの可憐はもっと……!」というスタンスだったけど、この日の堂々たる歌い方、立ち居振る舞い、初見の人にはおどおどするのに慣れてくると途端に扱いがぞんざいになるところ……。人気曲であるBlue Symphonyを歌うまでになったことで、可憐を演じるのが近藤唯でよかった、彼女を宜しくお願いします、という神妙な気持ちになった。アイドルとしてもだけど、Pとしてはもともと尊敬。MCでスキルの名前に触れたり「このSRの衣装と一緒で……」とか早口になるところ、終演後の打ち上げガシャを3回まわして新規を含むSR4枚を手に入れてるあたり、半端なPではない。
Raise the FLAGで普段ぽや~っとしたところのある真壁瑞希の、キリッとしたカッコよさをみせた阿部里果さん。「ライブハウス武道館」でギターを掻き鳴らす愛美(半信半疑だったけど今回オペラグラスで手元を見て、どうも本当に引いてるらしいとようやく理解)、北上麗花のカドの無い奔放さを歌声にしたかのような透明で伸びのある平山笑美さん、そしてベイによる待ちぼうけのLacrimaは、くるぞくるぞと分かっていてもお手上げな歌唱力……というか背筋が凍りそうになるほどの表現力。
開幕で子豚ちゃんたちには啼き声を、天空騎士団員には7つの誓いを叫ばせ、武道館に舞うことは叶わなかったけどステージから1メートル空に近づくことができたと笑い、如月千早に自分を重ね天海春香に救われた仄暗い学生時代を振り返り、最後に全てのPに祝福を授けた小岩井さん。3rdのメイキングで涙する姿にチョロいPはすっかりやられてるんだろうな、しかし自分はそうはいかなチョロいPでしたこっこちゃん大好きですすみません。
サプライズも、来ることがわかっているなら面白くない?No、来ることがわかっているサプライズは新鮮さを失うんじゃなくて、期待を煽る。そしてその期待が完璧な形で叶えられたとき、見る側は満足感と喜びに快哉を叫ぶんだろう。
ンな回りくどい言い方をしなくても、赤い世界が消える頃からはじまる後半戦は3rdでやらなかったMarionetteは眠らない、やBlueSymphony、ミルキーウェイのフルメンバー(歌中台詞にもう一人)による星屑のシンフォニアとクレシェンドブルー全員によるFloodingという怒涛のような――本当に、押し流されるような「カッコイイ」曲の洪水に、思わず体の底からコールが、歓声が、叫び声が溢れて(Flooding)くる。
自分の参加したライブに点数を付けた場合の最高点が2年ぶりに更新された2日目が終わったものの目新しい発表はなかった。上がりきったハードルを、3日目はどうやって超えてくるのか、期待よりも緊張と不安で落ち着かない3日目がはじまる。
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3日目、開演からアンコールがはじまるまでの体感は10分。実際にMCを巻いたおかげで初日・2日目より若干短時間だってのもあったけど、それにしてもライブを聴くだけではなく参加することの楽しさと夢見るような盛り上がりで、もう終わり!?って気持ちになったのは事実。
それから、「もう終わり……?」って気持ちになったのも事実。
スターライトメロディの衣装は白地に黄色と青。襟の部分がセーラー服っぽくてスクールファッション感があり、サイドの髪飾りも可愛らしい。
例によってうえしゃまに注目してたんですが、いつもと髪飾りの位置が逆だったよね。おやっ?て思った。
予想されるセットリストの中でリフレインキスを楽しみにしてたのは認めるけど、個人的に上田麗奈をセクシーさのアイコンにして欲しくない思いもあるので、うえしゃまセンターの「ねぇ……しちゃう?」で会場のテンションがおかしなことになってたことについては複雑。もちろん、時にカッコよく時に妖艶さを滲ませる曲を演りきったことへの賞賛はあるけど、素直に射精ですとは言えない。ごめん、このパワーワードを使いたかっただけだわ。
前日夜の思いつきでPたちにウェーブを要求し、盛り上がりに盛り上がった素敵なキセキを受けて登場したのは蝶々さん。ぎこちなかった3rdに比べて、柔らかく楽しげにハッピ~エフェクト!を歌う様に思わずこっちも笑顔と言いたいところだけど、さっきまでぴょん吉が湧かせていた会場に、(ハッピ~エフェクト!がコールを入れる曲じゃないだけに)自分の声だけが響く状況を本人がどう捉えていただろうという不安が募った。煩いコールはノーサンキューだけど、「大丈夫だよ」「もっと歌って」というポジティブなレスポンスとしての意味があるなら、ステージで孤独に歌うアイドルを勇気づけられるのかも、という考えに変わりつつある。それでも警報は嫌いだけども。
間奏部分をしっかり歌いきったヒップホップ、Sweet Sweet Soulが終わると、さあうえしゃまのソロだ。ここまでのソロはトキメキの音符になって、フェスタ・イルミネーション、素敵なキセキ、デコドリ、dear... 、オレンジの空の下、全てがLTP曲。目指し続けた武道館の地で最初のソロ曲を歌うことに意味があるというスタッフの想いが伝わってくるセットリストだ。UOを折る準備はできている。さあエレキの音に導かれて――ココr
……恋愛ロードランナーかぁ……
いやダンサーを引き連れず唯ひとりでステージに立つ珍しい曲だし、こちらに突き付ける真っ直ぐな視線と指、コールの誘導や歌い終わりの「大好き」とか見どころは多いから恋愛ロードランナーが嫌いなわけじゃないけど、武道館で歌うのがココロ☆エクササイズじゃないんだという失望は隠せない。
ただ、続いたUp!10sion♪Pleeeeeeeeease!は松田の可愛さが弾けてたし、MCで本人も触れてたけど、高いところから見下ろすように歌うライアー・ルージュは天さんの表情が素晴らしかったので多少は救われたかもしれない。
そしてお馴染みとなったサプライズパート。勿論、3日目は侠気乱舞からスタート。悪徳組長の声が出てないというトラブルはあったものの、間奏で魅梨音組と木下組が拳を掲げ合う演出はバッチリ決まってた。
それ以上に驚いたのは愛美で、2日目の時点で髪色をジュリアの赤に染めてきたのは分かったけど、3日目はウェーブのかけ具合がちょうど良く今までにないほど2次と3次の境界が揺らいでた。
この日は高橋未奈美も髪色と髪型に手を入れて、完全にこのみ姉さんだ……って具合だったし、さっきは役者が役に寄せすぎるのは危険だって書いたものの、ステージの上で1人じゃない、2人分の力が出せるってメリットもあるのかなと。ステージ巧者の伊藤美来でさえ「自分が百合子に相応しいのか分からなかった」「百合子に助けてもらった部分もあるし、自分が百合子を助けてあげられる部分もあった」と語るほど、見る側にとって華やかな舞台は演者にとって底なしの暗い穴の姿に擬態しているのかもしれない。演者とキャラクターの結びつきが強まることで彼女たちが気丈に輝けるなら、アリかもしれないね。
で、侠気乱舞を受けて出てきたのはlittle trip around the world。この曲ね、仙台のBDではじめて見たんですけど、振り付けがすごく可愛いんですよ。ぴょんぴょん跳ねてクイッと手を広げ、腰を曲げてはいポーズ。
が、武道館ではオミット。Marionetteは眠らない、もPrecious Grainもライアー・ルージュも振り付けが簡略化されてる部分があったのは残念。ただ、毎回が自分にとってのベストであるはずもない。自分好みのパフォーマンスはBDで。まあ今回はブーツが今まで使っていたものに比べてヒールが高い(ように見える)のも、影響を与えてるかもしれないけど。初日にゆい㌧がよろける場面もあったしね。
君との明日を願うから、で名前を呼ばれて涙ぐむMachicoにもらい泣き、ってわけじゃないけど、いい曲になったなあこれも。そして驚きの新曲発表とともにアンコールへ。
……いや、まあ、本来は田中琴葉がセンターで踊るべき場所を空けた不自然なフォーメーションでやりきって、サプライズ登場のゆきよさんが「散々迷ったけど恵美がどうすべきか教えてくれた」と語る、オリメンのジレるハートに火をつけて、について書かないわけにはいかないでしょ。3日目、最も耳目を集めたのは間違いなく「田中琴葉」だった筈だから。
昨年9月から休養している種田梨沙復活のライブになるのか、ひとりだけ真っ白だった寄せ書きにメッセージが書き込まれることはあるのか、声だけの出演は、何らかのメッセージは……個人的にはエリーチカが不在だったμ’sのNewYearライブ(絢瀬絵里抜きだから公式には2ndライブと言われてない。μ’sの2nd扱いするとラブライ部員おじさんに怒られるぞ!)みたいな扱いになるんだろうな、でも踊ってるアニメーション無いからカード画像を大型ビジョンに表示するのかな、ますます遺影扱いされるな……と要らぬ心配をしてた。
スコーピオはジャケットに琴葉はいるものの、歌詞カードは上田・雨宮・村川の3人だから仕方ない。じゃあ灼熱少女はどうか(765のメンバー無しでユニットとして成立するのは3組。乙女ストームとクレシェンドブルーは初日・2日目でやったから最終日を灼熱少女が締めることになるのは予想できる)、センター琴葉をどう扱うのか。そのアンサーが、間奏で「灼熱少女は5人」と宣言したことだった。
感動的な場面であるとともに、ああ言っちゃった、と嘆息した場面でもあった。
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アニメアイドルコンテンツに造詣が深いわけではないけど、μ’sに無くてアイドルマスターにある強み、WUGが持ち得なくてI-1Clubが備えている強みこそが「相互補完性」とでも呼ぶべきものだと考えてる。
というか、最初アイマスのライブに参加したときびっくりしたんですよね。オリジナルメンバーが揃ってないのにユニット曲を歌う、むしろそれをライブ限りの特別版としてPが好意的に受け止めていることに。
当時自分はμ’sしか知らなかったから、例えば「Beat in Angel」を(Pileではなく)久保ユリカと飯田里穂が歌っても何一つ納得できなかったと思うんですよね。
でも、構成人数が多いアイドルマスターは全員参加を前提としていない。765プロには既婚者も在籍してるし、シンデレラはそもそも何人いるんだ?コンテンツの作り方が違う。他の仕事、体調不良、ケガ、穴が空いても別のメンバーが埋められる、という組織としての強さみたいなものを感じた。
(最近見た)Wake Up,Girls!でも丹下社長が「7人揃ってWUGなのよ」とこぼしていた場面で、WUGはアイドルの祭典で栄冠を手にしても長続きはしないだろうなと、絶えず新陳代謝を繰り返し、新しい力を手に入れ続けるI-1Clubに勝ち続けることは出来ないだろうと思った。例えば誰かが一般人に恋をしてアイドルを止めたら?もっと直接的に加齢によってアイドル活動が先細りになったら?I-1が切り捨てと新メンバー加入で対応できることが、WUGにとっては致命傷になる。それも、時間から逃げられない以上、必敗だ。
ミリオンライブ!は田中琴葉の帰りを待って、37人で未来へ進む道を選んだ。弱みを受け入れ、リスクを負うことになってもだ。藤井ゆきよは今年で32歳になる。上田麗奈、伊藤美来、TrySail、愛美らは自分たちが立つべき場所を他にも持っている。既婚者である野村香菜子、斉藤佑圭が家庭に入ったら?残酷な話、声優の道を諦めるメンバーがいてもおかしくない。火傷で、病気で、事故で外見に大きな傷を負ってしまったらどうする?37人全員が何事もなく揃い、十分な時間的拘束を受け入れてコンテンツが成立する――可能だろうか。可能であり続けることができるだろうか。
そうでなくてもミリオンライブ!は少なくとも2つの問題を抱えている。ひとつは765プロと地続きであること。765Proの提灯持ちになっては新アイドルを出す意味が無いし、765Proを蔑ろにすれば旧来のアイマスファンの怒りを買うだろう。中の人、ファンからも合同ライブを望む声は多いけど、それは本当に可能なのか。コンテンツを発展させるための手段になるのか。
なにより、多くのPが望んでいるであろうアニメ化をどうするのか。ゲッサン版ミリオンライブ!はピンチに駆けつける先輩ライダー的な立ち位置でかなり上手く料理してたと思うけど、他に手段があるだろうか。輝きの向こう側へ、にミリオンのメンバーが出演したことをパラレルにするのか、正史として引き継ぐのか。
そもそも、10年以上前に作られたキャラクターたちへの受容性が高いとは思えないという懸念もある。市場で無視できない中学~大学生にとって765Proのアイドルは自分が子供の頃に出来たキャラクターだ。
もうひとつの問題は、37人という固定メンバーを掘り下げていく展開を取ったために新規加入アイドルがありえないという構造にある。コンテンツのはじめから全員に声が付いている、しかも新人や各事務所が売り出し中のメンバーで声優ともども押していこう、というミリオンライブ!の仕組みは、新しい血が入ってこないために新規ファンの獲得が難しい悩みと表裏一体だ。シンデレラのPが「あのアイドルに声がついた!」と喜んでいる様とは対照的に。
事務所を765Proにしたことにせよ初期から全員に声を付けた仕掛けにせよ、初動ブースト、先行逃げ切りを狙った作戦だったと思う。というか時間が経てば経つほど不利に働きすぎる。さらに今回の琴葉騒動。種田氏に責任をかぶせるつもりはまったくサラサラ無いけど、琴葉が帰ってきてくれないとアニメ化も次のライブさえ目処が立たなくなってしまっている。
そこへ来て3日目の大きな発表は新しいソーシャルゲームのプラットフォーム。偉い人たちの考えは分からないし自分の意見が的外れであることを願うけど、個人的にこれほどゾッとした、正気を疑う発表は初めてだった。
PVではスマートフォンで3Dレンダリングされたミリオンスターズたちが笑顔で踊っている。言うまでもなく、大ヒットしているシンデレラガールズ・スターライトステージを髣髴とさせるものだった。
ジャンルさえ明らかになっていないけど、音ゲーであろうとなかろうと成功・失敗の本質はゲームジャンルじゃない。今ミリオンライブ!がデレステの真似をしても90%失敗する(流石に100%とは言えない)と思う理由は、両者がリリースされる環境が全く違うことにある。
デレステは、アプリゲームがアニメ化して爆発的にシンデレラガールズの知名度が上がり潜在的なプレイヤー層が増えていたものの、古参ひしめくガラケーでいまさら一からはじめるのは……という層に、みんながゼロからスタートできる新しい遊び場を提供した。折しもスマホ向け音ゲーでスクフェスのシンプルさが飽きられつつあった頃に、目を疑うようなクオリティで展開されるアイドルたちはさぞ新規プレイヤーの心を掴んだだろう。デレマスからの乗り換えも勿論あっただろうけど、概ねアニメからの新規はデレステ中心、それ以前からのファンはデレマス中心と住み分けがなされたのではないだろうか(完全に推測です)。
では、ミリオンの新作、Theater Daysはどうか。潜在的なプレイヤー層が増えていない状態で新しいソーシャルゲームを発表して、旧来のミリマスPが単に分裂するだけではないのか。道行くライトオタクに「アイマス知ってる?」と訊いてみるがいい。シンデレラの話になるか、せいぜい765Proの話になるかのどちらかだろう。武道館でライブをしたとしてもミリオンライブ!の知名度なんて比べるべくもない。
課金するかも分からないライト層は狙ってない、一部の重課金者がたくさんお金を積めばよい、成る程そういう考え方もある。
でも、「世間で流行っている」という空気作りが大事なのは言うまでも無いと思う。毎月100万円課金してたPが倹約に目覚めたら?別の、より夢中になれるコンテンツに乗り換えたら?ブシロードの木谷社長が口にするように、新規を掴めなければコンテンツは長生きできない。ゲームそのものの面白さも大事だけど、キャラクタービジネスである以上、釣り糸を垂らす池にどんな魚が住んでいるのかちゃんと確認したのか、たまらなく不安だ。素人のくだらない取り越し苦労だと本当に嬉しい。
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でもまあ、アニメ化は無し、めぼしい発表は新しいソーシャルゲームのみ……という状況にガックリ来たのは事実だけど、悲観してばかりでもない(実際、新しいソーシャルゲームは種田氏の休養とは何の関係もないと思ってる。休養から半年でイチから企画を練って、社内決裁を通し、見られるPVまで作れるとは思えない)。
武道館3日目のラスト、36人のアイドルと、大型ビジョンに映る37人目、田中琴葉のモデルが踊り、みんなで歌い上げた「Thank you!」は4年間見守ってきたPに対してのアイドル達からの感謝。そしてこれからも宜しくという挨拶だった。
雨宮天は「志保さんならもっと先へ行ける」と言った。武道館ライブは集大成だったが、これで終わりじゃない。新曲「Brand New Theater!」が示すとおり、新しいシアターの未来がその先にある。翼が無いから飛んで行くことは出来ないけど、静香に一歩ずつ前へ進む、そんなアイドルたちを見守りたい。
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P.S.(書いてる途中で差し込む場所が見当たらなかったトピック)
・でも坂上Pについては信用してないから、全く油断できない。
・3日目の近藤唯さん、完全に可憐でした。ありがとうございます。
・アンコール後のMCでぴょん吉がこれまでのプロデュースに感謝を述べる場面、死に別れみたいな縁起でもないことはやめろ!俺が欲しいのは感謝じゃなくて叱咤、見たいのは頭を下げる姿じゃなくて先に進む背中なんだよ!と頭を抱えてました。
・こんな批判的な文章書いといてなんですが、ミリオンライブ!は本当に楽しいコンテンツなので、もっと多くの人に触れて欲しい。若く可愛いアイドルたちが時に突飛に時に真面目に頑張る姿はアラサー以上に刺さると思う。
コメント
いつも思うことだけど、どうしてもライブの後は終電まで時間が少なくて、思いをぶつけあう時間が限られているのが難しいところだね。とはいえ、ライブに行った者だけの贅沢な悩みかもしれないけれど。
僕はあまりミリオンには詳しくないので、情熱を籠めて書かれた文を読むのは非常に楽しいものです。「日ごろゲームで遊んでいると、こういう感想が出てくるんだな」と、少しばかりうらやましくも思います。
文章の後段で、今後についての多少の不安が書かれていたけど、例えば僕のように「ミリオンライブの名前は知っているけど、ゲームは然程やってない」という『コンテンツ周辺をうろうろしている』という層にとっては、新しく始まる何か、は大きな切っ掛けになり得るのでは、という思いがあります。
あとは運営サイドの腕の見せ所ではありますが、新しいファン層を拡大してほしいところだね。
今回のライブで初めて聞いた曲がたくさんあった僕としては、少しずつ気になる曲を聴いたり買ったりして楽しんでいきたいと思います。僕のような層にとっては、熱量のある感想は、曲購入の大きな切っ掛けになるのですよ!
そして遠くない未来にアニメ放送が見られるもの、と期待しながら、またライブに参加したいものです。
私の挙げた問題点なぞバンナム側は当然折込み済だと思いますが、性根が疑い深いこともあり、大好きな作品だけにモヤモヤとした不安が胸のあたりに巣食っています。
私がアイドルマスターシリーズに触れてからまだ2年も経ってません。しかし、副業がつらい時期を支えてくれ、今まで縁薄かった方と繋がるキッカケもくれた大事なコンテンツです。新展開がより多くの、これから同僚になる人たちに届いてくれることを本気で願ってます。
それはそれとして、ミリオンは曲がホント最高なんで是非どんどん聴いていただいて、そしてまた一緒にライブ行きましょう、ペンライト振りましょう!