読書18

2017年6月25日 読書 コメント (2)
こんなときどうする 公務員のためのクレーム対応マニュアル 著:関根健夫

・クレーム対応スキル向上のために
・事例集まで載ってていい本だった。若い職員に読ませたいレベル。

・対応するときは時間をたっぷりとって、きれいな場所で。雑然とした場所だと気が散る&ぞんざいに扱っている印象を持たれかねない。
・法律は常識の測りであって、クレームになってる時点ですでに法を説いても無意味。
相手の納得・満足を得るためには1.言い分をすべて吐き出させる。2.補足や逆質問で相手の主張を明確にする。3.時間をかけて説明する。正論で言い負かしても意味がない。あっさり対応を変えたり説明を省くと不信感を持たれる。4.どんな相手でもフラットに対応し、満足して帰ってもらおうという意識だけは忘れずに。
・役所の正当性は利用者の都合とは無関係。利用者には法律に文句を付ける権利がある(それが許されなければディストピアだ)。
※「ご意見としては承ります。しかし現実的には……」「お気持ちはよくわかります。しかし他の方のこともありますので……」
・こちらに落ち度が無くても「不愉快な思いをさせてしまい……」「ご心配をおかけして……」で道義的に謝ることはできる。社会的に役所の責任を認めて賠償するのとは別次元の話。
・ヒアリングのワード。それから?次に?他には?促す言葉と逆質問で主張を明確化し、話を聴いてくれているという満足感を刺激。
・全面的共感。部分的共感:その点については。条件的共感:あなたのお立場なら。個人的共感:実は私も~なので。
・説明する前に質問して『事実』を明確に。相手が本当のことを言っているとは限らない。思い込み、噂、悪意ある嘘。態度が悪い、馬鹿にしているなんてのは主観の問題で、組織として対応するクレームに当たらない。直接質問:5W1Hを具体化させる。予測質問:それは~ではないですか?確認質問:~ということですね?代弁質問:~ということですか?択一質問:~ですか、~ですか。自由質問:他にありますか?
・『事実』と『考え・判断』『感情』は分けて考える。「法律があるのでそれはできません」は事実と考え・判断が一緒になっているので相手も反論してくる。まずは「法律があります」で一度止める。事実には反論しようがない。その上で出来ない理由の説明に時間をかける。出来る条件はあるのか、妥協点はあるのか、探りながら説明する。最終的には「なんとかしたいのですが今回は○○でお願いします」でクローズ。
・クレームの根底には不安がある。初めてで分からない、自分だけの特異性で被害感や不足感がある等。結果が予測できれば次からはクレームにならないので、まずは相手を安心させること。相手が初めてなら「よくあることです」と全体化し、ベテランなら「こちらも初めての事態で」と焦点化させる。
・説明は理屈より事実で。1.過去の実例を挙げて:以前こういうことがあって、こうなりました。2.もし~だったら、を仮定。ただし、ネガティブな仮定はストレスになるため冷静になれる環境が前提。3.他の組織でもこうしています。4.数字を使って説得力をもたせる。
・人は「トクすること」「ソンしないこと」を軸に意思を決める。言ったほうがトクだと思うからクレームをつける。金銭的な問題、役所をやり込めてやるという高揚感、正義感の発露、強さを示すことへの快感など。逆に、これ以上は労力の割に合わない、自分の言い分に理が無いという自覚、担当者をいじめるのは可哀想という負い目を感じればクレームは終わる。
そのために、
1.とにかく時間をかけて満足させる、相手に時間の無駄を悟らせる
2.安易に法律を振りかざして「突破してやろう」という気持ちを煽らない
3.自分が責任を持って対応することを強調し、たらい回し=攻撃要素を作らない
4.次善策を示してそっちを採った方がトクだと思わせる
5.解決策は比較して本人に選ばせる
6.具体的な改善案を示す
7.理屈で言い負かさず自尊心を煽って「~していただけませんか」と相手の気持に訴える
※言い分を100%認めても次回の過大な要求につながるだけ。便宜を図るなら「これが特例であること」「特例を認める理由はこれこれであること」「今回だけであること」が必要。「今回限りであることをご理解いただけない場合は今回の件もお断りします」「申し訳ありませんがこれ以上の対応はできません」「ご期待に沿う解決策は提示できません」「出来ることはただお話を伺うことだけです」「そこまで仰るなら上司と相談しますが、出来ない場合は諦めていただけますね?」
・クロージングでは改めて自己紹介する、再来を促す、丁寧に見送る、合意事項を再確認する、出来ることは即実行する、お礼を述べるなど。
・金銭で補償できない場合、組織としての正式な謝罪という手段がある。
・悪質なクレーマーには記録を取る、名前・連絡先を控える、複数人で対応。周りにいる、視線を送る、資料を手渡しだけでも対応者は心強い。
※途中から同席する場合、まずは相手の話を聴き、主張を確認。
続いて部下に確認「それで君はどう説明したの」。
双方の言い分を繰り返す「あなたのご要望は~で、こちらの説明は~ですね。私の立場で考えてみましょう。しかし、困りましたね……」
部下に注意を与える「君の説明は間違っていないんだが、こちらの方は不愉快な思いをされている。言い方に問題があるのではないか」
相手に謝罪「こちらの説明は間違っていないのですがあなたが不愉快な思いをされたことについては、申し訳ございません」
第三者の立場から解説する「この件につきまして補足させていただきますと……」
※「そのお話は先程から既に5回伺いました。ご要望は……ということですね。ご意見として十分に理解しました。本日は私共もこれ以上の説明ができませんので組織として検討しこちらからご連絡します。この場は一旦お引き取りいただけませんか」⇒「ではあと5分だけ伺います」⇒「このあと○○(具体的に)がありますので失礼します」それで駄目なら居座りで警察へ通報。電話の場合でもあとでかけ直すことにして打ち切ろう。
・イエスかノーかはっきりしろ⇒「この条件ならできます」「状況をもう少し詳しく伺わないと判断できません」
・上司を出せ⇒これ自体は不当ではないが、好転しなさそうなら出さない。
・訴える⇒それはあなたの権利ですからどうぞ。ただ時間がかかりますからそれならもう少し説明を致しますが。
※誠意を見せろ⇒「私どもの誠意はご納得いただけるまで説明することです」「私どもの誠意は全ての方に公平なサービスを提供することです」「誠意の内容を具体的に仰っていただければ、こちらも具体的に出来るかどうかを判断いたします」
※こっちは時間がない⇒「申し訳ありませんが個別の事情については対応しかねます」
※私の言ってることは間違ってますか⇒「仰ることはごもっともです、しかし、現実には行っていません」「お気持ちはよく分かります。しかし現実には別の立場のお客様もいらっしゃいますからこの場で認めるわけには参りません」「ご意見は上司に伝えます、その上で可能なことは今後、改善してまいります」
・あなた個人はどう思ってるの⇒「私個人はなんの意見も持っておりません」
※他の場所ではやってくれる⇒「当方ではそのような対応はしておりません」「今後の課題としてこちらでも可能かどうか検討いたしますが、現時点で当方ではこのようにしております。ご協力ください」
※精神的に苦痛を受けた⇒「不愉快な思いをされたことについては申し訳ございません。こうして謝るほかどうすることも出来ません」「あなたの状態と私共との対応の因果関係が証明されない限り、これ以上何も申し上げることはありません」
・電話で確認したのに⇒「電話で真意を伝えきれなかったことについては申し訳ありません、しかしながらこういった事情で必要ですので」

「※」は本文から引用あり

コメント

ジョー
2017年6月26日21:48

イエスバット話法は超便利。
マスターしてどんな質問も煙にまけるようになりたいものです。

mario
2017年6月26日23:58

お互い、頑張りましょうね。最近は声音とテンポと間の取り方で会話を誘導できるような気がしてるんですが、理論の裏付けが無いので実践の日々です。

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