弱ったなあ問題が持ち上がったぞ→そういえば孫氏がこんなことを書いてた→孫氏の言うとおりにやったらうまくいきました!
が繰り返される「マンガ 孫子の兵法の活かし方」があまりに子供だましだったので別の本も読んでみるかと。

著者の主張がとにかく中国共産党バンザイ毛沢東バンザイ、それに比べて日本は駄目だに終始してて、そんなところから日本批判につなげる?って唸らされるレベル。解説を無視して孫氏の現代語訳だけ読む分には有用だけど、もうこの本じゃなくていいよねそれ。

評価:☆☆☆☆★
孫氏はいいこと言ってる。それをどう活かすかは読み手次第。

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・開戦に先だつ作戦会議で、勝利の見通しが立つのは、勝利するための条件がととのっているからである。逆に、見通しが立たないのは、条件がととのっていないからである。
新しい業務が増えるときに会議だけして「まー仕方ないから頑張りましょう」になるうちの会社にとっては耳が痛い話。

・人を致して人に致されず(主導権を握ることが大切)。

・人の気力は、朝は旺盛であるが、昼になるとだれ、夕方には休息を求めるものだ。それ故、戦上手は、敵の志気が旺盛なうちは戦いを避け、志気の衰えたところを撃つ。
別のビジネス書なんかだと「だから通したい稟議書は昼~夕方くらいに持っていこう!」なんて書かれてるのを見たことがあるけど、そういう問題じゃないだろう。

・敵を包囲したら必ず逃げ道を開けておかなければならない。窮地に追いこんだ敵に攻撃をしかけてはならない。
来所者は素人なんだから法に則って説得するときも相手のメンツを潰すな、断るときは最後のひと押しを避けろ、とは若い子に普段から言ってる。

・敵の攻撃がないことに期待をかけるのではなく、敵に攻撃の隙を与えないよう守らなければならない。
バイトの電話対応が超不安なんだけど、うるさく言って恨みを買うのも嫌だし指導するほどでもないか……と見て見ぬ振りをしてる身に詰まされる話ですよ。

・兵士が十分なついていないのに、罰則ばかり適用したのでは、兵士は心服しない。逆に、すっかりなついているからといって、過失があっても罰しないなら、これまた使いこなせない。兵士に対しては、温情をもって教育するとともに、軍律をもって統制をはからなければならない。
まったく以てその通りなんだけどバイトへの対応が難しい。連中に責任感を持たせるにはどうしたらいいのか。正職員と同じ待遇にして研修も施して同じ仕事をさせる、というのが正解だというのは分かるんだが自分にはその権限が無い。

・敵を攻め破り城を奪取しても、戦争目的を達成できなければ、結果は失敗である。
クレーマーをうっかり論破してしまったときに思い出そう。自分の仕事は窓口をスムーズに運営することであって知識や能力をひけらかすことではないと。

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結局のところ、孫氏が繰り返し言ってるのは、
・徹底的に情報収集しろ
・地形に合わせた行動をしろ
・味方を結束させ相手は団結できないようにしろ
・行動すべきときかどうか見極めろ
・やると決めたら素早くやれ(兵は拙速を聞くも未だ巧久しきを睹ざるなり)
なのよね。
「地形」をシチュエーションと捉えれば確かに職場での立ち居振る舞い、管理者や現場責任者にとっては頷くところが多い話ではある。

あとがきで孔子と孫氏を比較してるところは面白かった。孔子は「朝に道を知らば夕べに死すとも可なり」と残しているように、自分自身が人生に納得する方法を探している、悪く言えば自分本意な哲学者であって、孫氏は組織の成功を第一としてどこまでも怜悧な実務者である、と。人を評価するにも孝とか悌ではなくて信賞必罰を旨としたビジネスマンであると。

高校時代に似たような内容の本を読んだ記憶が戻ってきたので有意義な読書体験ではあった。知的生き方文庫にハマっておいてよかった。

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