金曜日の午後、来週の出勤表を見て「月曜日休む人がいるな、まあこの日は来客が少ない見込みだし良いだろう。誰だ?」→自分でした
というコントを演じてしまって、降って湧いた3連休。取りうる選択肢は3つ。

1.先月しっかり分単位の行動計画を立てていざ出発したら財布を忘れてた沼津旅行
2.買ってあるゲームを少しでも崩そう
3.貯めてるアニメを少しでも消化しよう

どれも気が乗らないな……というのが正直なところ。アニメは25分もテレビを見るのが辛いしゲームも面倒くさい。沼津旅行はなんだか興が削がれてしまった。仕方なくニコ動でも見て時間を潰すか……と思ってため息をついたところに天啓が降りる。

「この間、品川-五反田間を15分で走ったけど、山手線を歩いて1周できないか?」

それからは終業までその考えにずっと取り憑かれてた。
本当は日曜日に決行して月曜を休養に充てたいけど天気が悪い……じゃあ土曜日にやるか!ggるとやってる人は何人もいる、大学生が休みつつ14時間かかるってことは自分一人で黙々と歩けば12時間でイケるな(自分への過信)。7時に東京駅スタートすればこの時期だと19時に帰ってきてもギリギリ明るい。5時起きで6時間は寝ておきたいな。モバイルバッテリーの充電をしておかないと。コースの確認は?GPSアプリ使えば足跡も残せて面白そうだ。

考えてみたら散歩大好きジョギング大好きなのに今までこの考えが浮かばなかったことが不覚とさえ言える。この手の体力を使うやつはこれから先の人生で一番若い「今」が一番やりやすい筈だし、思い立ったが吉日よ。

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今回用意したものは、
・500mmのスポーツドリンク×1
・プロテインバー×2
・980円で買ったメーカー不明モバイルバッテリー
・iPhone
・Bluetoothイヤホン×2(1つ4時間ほどで充電が切れる)
・滑り止め付き5本指ソックス(ミズノ)
・コンプレッションタイツ(ミズノ)
・ゲルカヤノ(アシックス)
・つば広の帽子
・Kindle Paperwhite
・ボディバッグ(リュックは重心が不安定で走れなくなるから却下)

カフェで優雅にコーヒーを飲みながら電子書籍を楽しもうと思ってKindleを持っていったんですが、ええ邪魔でしたね。というかそんなんじゃなくタオルか制汗シート持っていけよと思った。それと、音楽聴きながら楽しんで歩こうとイヤホンを2つも持っていったんですが、知らない街で周囲への注意が散漫になるのは普通に危ないと感じて使いませんでした。飲み物が500mmで足りないのは分かりきってたんですが、結局全体で2.5l、陽が登ってから13:30までに2l飲むことになりました。ていうか台風が迫ってて猛暑日になったんですよねこの日。こんな日にやんなよアホか。
次にやるならこのあたりの反省を活かしたい。内回りコースでもう一回楽しめるし、45キロ歩けたってことは45キロ走れるってことだからね、修練さえ積めば。ここんとこ30分ジョギングしかしてないから、まあ年単位で準備しないといけないだろうけど。

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結果。
7:00 東京
7:13(13分)有楽町
7:28(15分)新橋
7:40(12分)浜松町
8:01(21分)田町
8:29(28分)品川
8:58(29分)大崎
9:13(15分)五反田
9:32(19分)目黒
9:55(23分)恵比寿
10:21(26分)渋谷
10:41(20分)原宿
11:04(23分)代々木
11:16(12分)新宿
11:44(28分)新大久保
12:03(19分)高田馬場
12:20(17分)目白
12:40(20分)池袋
13:03(23分)大塚
13:31(28分)巣鴨
休憩1時間
14:46(16分)駒込
15:07(21分)田端
15:23(16分)西日暮里
15:36(13分)日暮里
16:07(31分)鶯谷
16:22(15分)上野
16:40(18分)御徒町
16:55(15分)秋葉原
17:10(15分)神田
17:28(18分)東京

45.65km 62,088歩 歩行時間9:00 消費カロリー2182.29kcal

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当日。朝弱いので5:00に鳴った目覚ましを消してベッドから降りたのが5:30。ボーッとする頭でなんとか家を出て電車へ。

予定通りに東京駅7:00。ルートは前日にgoogleとにらめっこしてみたんだけど知らない街が多いからどうしても不安。そこで、山手線一周のコースをgoogleマップで紹介してるサイト(http://runnippon.jp/kanto/tokyo/course4039/)のルートを共有させてもらった。

線路沿いに淡々と進むと有楽町の次はもう新橋。会社員のころ2ヶ月ほど通った駅だけどまあいい思い出が無い。というか東京駅からこんなに近かったのね。浜松町から暫く先は大きな国道沿いに駅がポイントされてるから地図を見なくて済む、という訳で気持ちよくジョギングしてみる。世界貿易センタービルとかいう危ない名前の施設を横目に浜松町へ。
このあたりで問題が2つ。1つは8時前なのに既に陽が出てきて暑いこと。もう1つが、GPSアプリが予想以上に電池を食いまくって、開始40分で既に91%→79%まで減ってること。仕方ないのでここでアプリをアンインストール。

土曜朝の田町駅周辺は通行人も少なく、森永乳業のお膝元なのに幹線道路沿いの商店もパッとしない感じ。この国道、勝手に246号だと思いこんでたけど(椎名へきるの影響で東京の大きな道路は全部これだと思ってしまう)、あとで調べたら違った。

田町-品川感はなぜかエクスカイザーのOP「Gatherway」が脳内再生され続ける中、バンナムの研究所を過ぎ、組長の顔を思い出す泉岳寺駅を過ぎ、高輪ゲートウェイ建設地を過ぎてもまだ品川に着かない。長い。
2週間前に品川-五反田を走ったときは新八ツ山橋で右折して直接五反田に向かったので、今回はそのまま国道に沿って走る。地図に従い、ここで合ってるの?と不安になる路地を抜け高架を渡ると、唐突に蝉の声以外の音が消えた。
電車の音も自動車の音も喧騒も無い、突然現れた林と公園と住宅地。初見でも分かる高級住宅街だ。御殿山って名前からして如何にもじゃないか。

蝉時雨を後にすると、道路にはあからさまに貨物自動車が増えた。大崎駅だ。ここでNEWDAYSに寄っておにぎりを1つパクリ。長距離のウォーキングやランニングは脱水症状とハンガーノックに細心の注意を払わねばならない。栄養が足りないとマジで脚を踏み出すことさえ困難になるから。

そのまま休み無く五反田へ。この間は山手線内側の顔しか見てなかったけど、外側から駅に近づくと目黒川沿いは適度にキレイで適度に雑然としてる、だいぶ好みの町並み。花房山通りの上り坂を淡々と登って、目黒に到着。周辺はどことなくオシャレで気取ってて、ザ・神奈川って感じ。
個人的に神奈川県民は全員スラリと背が高くて細くて髪はサラサラで女性を見つけては跪いて手の甲にキスをするわ登場するときは薔薇なんか背景に背負っちゃって魔夜峰央の漫画の人物かよって印象がある。神奈川県民は生まれからして高貴だから新潟生まれでは絶対に敵わない気がして、極度に劣等感を刺激されるのだ。本人たちには伝わるまいが。

恵比寿ガーデンプレイスを抜け、会社員のころ1ヶ月ほど通ったので碌な思い出のない渋谷を後にする頃には疲れを感じて体が前傾気味に。そのうえ渋谷駅はとにかく尋常じゃないほど汚くて臭い。直前の恵比寿と比べると、若者文化の街というより貧民街といった方がしっくり来る。
原宿へ続くだらだらした上り坂は韓国人?ばかりが100人ほどずーっと列を為してて、その列を黒人が管理しているというインターナショナルぶり。狭い道、太陽熱、飛び交う異国の言語に体力を削られながらも左手に代々木体育館が見えて、些かの慰めになった。2年前ここではじめてWUGを見たときのことを思い出して。

原宿を通過して1本めのペットボトルが空になり、足取り重く代々木に着いて新宿を発した頃にはもう11時。混む前に適当なファミレスで休憩しつつお昼ごはんを食べたかったのに、これが全く見つからない。仕方なくプロテインバーをかじりながら歩を進めると新大久保駅を通り過ぎてしまった。トボトボと引き返す最中も南中を迎えつつある太陽は容赦なく体力を奪い、脚はむくみ、代々木駅の近くで買ったペットボトルもあっという間に空になる。行程全体を通じてこの原宿~新大久保間が一番しんどかった。

線路沿いの長い陸橋を渡り終えると平坦な道の先に高田馬場駅がある。そこから記念館や大学の講堂なんかを眺めつつ林間の上り坂を越えると目白駅。腹は減ってるし疲れもあるけど、このあたりは雰囲気も空気も良くて、気分は悪くない。目白駅前は面白いことに目黒駅前にそっくりなんだけど、向こうよりだいぶ落ち着いてて好き。
住宅地のど真ん中をテクテク歩いて池袋駅前の見知った風景が見えてくるとようやく人心地。早くどこかに入って休みたいと思うものの、土曜昼の池袋でゆっくりできるワケがない。そのうえ自分はじっとりと汗ばんでいる。入るなら大塚か巣鴨かなあ。

ただ、ゆっくり出来る店がこのまま見つからないことも覚悟してプロテインバー2本目を口にする。ペットボトルも3本目4本目と、この池袋-巣鴨間で消費してしまった。東池袋が広い上に風景もフツーの街という感じだから歩いてて全く面白くない。さらに、大塚駅そばの路面電車はおおっと思ったし、南口と北口が筒状になってて見通しがよく開放的な駅舎も気持ちいいけど、巣鴨へと至る道が路地だらけなのが最悪で、2回も道を間違えてしまった。巣鴨駅に向かう途中何度も地面に座り込みたい誘惑が襲ってきたけど、そこそこ人通りがあったので間違いなく声をかけられそうだったから歯を食いしばって足を出す。ようやく視界が拓けると駅周辺は「おばあちゃんの原宿」の通り、中山道沿いのアーケードにずらりと店が並んで賑わってる。と、ここでようやくジョナサンを発見。地獄に仏。シューズを脱いでたっぷり1時間休ませてもらいました。

再び出発したのが14:30。休んだおかげで出懸かりは脚が全然動かなかったんだけど、冷房の効いたお店でしっかりと肉とご飯を入れたのがよかったのか(そりゃ良かったのだろう)、5分後には慣れてスイスイ歩けるようになった。
駒込を軽く超え、昭和~平成初期っぽい刻が止まったかのような住宅地を抜けると田端。なんとなく、このあたりに生まれた子供は「自分だって区民なのにどうしてキラキラしてないんだ……新宿区民が憎い!港区民が憎い!」ってルサンチマンを育んでそう。その気持ち、分かるよ(勝手に理解したつもりで納得)。

そして線路沿いの小路を歩き続けて西日暮里、墓地だらけの日暮里を踏破。日暮里駅は高架にポッカリと空いた洞窟のような入口が秘境駅っぽくて面白かったんだけど、反対の東口はちゃんと拓けてるみたい。

日暮里-鶯谷間が第2の難所だった。とにかく距離が長い。日暮里側は風流な江戸っ子の街という趣があったんだけど、鶯谷に近づくにつれ、どこを向いても墓地と寺、そして東京芸術大学の無機質な建物ばかりで気が滅入る。地図を見ながら駅があるはずの場所に着いても駅舎が小さすぎて最初本気で道を間違えたかと不安になったり。

それでも上野まで辿り着いたときは安心した。上野-秋葉原も秋葉原-東京駅も歩いたことがあるから、ここから先は消化試合、ウイニングランだ。特に御徒町-秋葉原間は高架下に綺麗なお店や貸しスペースが並んでて、普段でも街ブラに最高。東京駅は出発が丸の内口だったから八重洲口でゴールするのがキレイかなと思いつつ、目に入った日本橋口でタイマーストップ。

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これだけ歩いて2000kcal少々しか消費できてないんだから、本当にダイエットには向かないよなというのが最初に出てきた感想。ただ、「趣味でジョギングやってます」より「歩いて山手線一周しました」の方が自己紹介でキャッチーなのは間違いないから、やってよかったという達成感はあるね。今回のMVE(Most Important Equipment)はコンプレッションタイツ。筋肉に圧をかけて固定してるようなもんだから足の疲れが全然違うし、翌日も筋肉痛がちょっとあるだけで膝がグラグラするようなことはなかった。腰が割れそうに痛いのは今後の課題なので、次の挑戦でははじめから腰にテーピングするといいかもしれない。

山登りに比べれば安全だし駄目そうなら簡単にリタイヤできるし、要するに歩くだけだから難しい技術がなくてもなんだかんだ達成できちゃうので、手持ち無沙汰な人にオススメ。

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